
5分でわかる 子どもが振り返りを書けるようになるための4つの観点
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執筆者: 佐藤 亜耶
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今回の5分でわかるシリーズは、佐藤亜耶先生(福島県・いわき市立御厩小学校)に、子どもが振り返りを書けるようにするために、4つの観点を示し、子どもたち自身が書く内容と書き方を理解できるようにするアイデアを、ご紹介いただきました。
「時間が足りなくて、振り返りができない」
「振り返りを書かせても、書かせっぱなしになり、学びがつながらない」
振り返りを書かせることが大切だと理解しつつも、このような難しさを感じることはないだろうか。
また、子どもたちの振り返りを読んでみると、「○○したのが楽しかった」という一言の感想でまとめられてしまっていたり、「○○についてわかった」とまとめを写して終わっていたりして、形式だけの振り返りとなってしまっていることがあるだろう。
では、一体どう書かせたらよいのだろうか。
授業の終末部分で行う「まとめ」と「振り返り」。
「まとめ」は、「めあて」に沿って1時間の授業の中で学んできたことについて、たくさん出てきた子どもたちの考えや意見を、子どもたちとともに1つの方向にまとめていくものである。そのため、教師が意見を集約したり整理したりする役割を担うこともある。「まとめ」を子どもに委ねることもあるが、その内容は「めあて」との整合性が図られるため、書き方は違えど、書かれている内容はポイントを押さえた同じようなものになる。
一方で、「振り返り」は、子どもが主体的に行うことができるものであり、この授業で学んだことに関して自由に書くことができる。教師が意図して書く内容を決めることもあるが、基本的には考えたこと、感じたこと、疑問やもっと知りたいと思ったことなど、振り返りの視点は多岐にわたる。
しかし、振り返りの自由度が高いからこそ、何を書いたらよいのか迷ってしまう子も出てくる。もちろん、自分の力で振り返りを書けるようにすることが理想ではあるが、まずは観点を提示して書かせることで、どのようなことを書けばよいのか書く内容を理解して、自分自身の学びを振り返って書けるようにすることが大切である。
その中でも今回は、以下の4つの観点を与えた振り返りの書き方を紹介する。
授業中の話し合いにおける、友だちの考えで心に残った発言をもとに振り返らせる。これによって、自分が友だちのどんな考えに納得したのか、心を動かされたのかということを振り返ることができる。また、選ばれた子どもは自分の考えを友だちから価値づけされたことにより、自信につながる。
【ディベート後の場面で……】
授業前の考えと授業後の考えを比べて振り返るようにする。この書かせ方をすることで、この授業を通して自分の考えがどう変化したのかを知ることができる。迷わず書かせるために、初めの段階で自分の立場や考えを書かせておくのもよい。これに加え、変化のきっかけを書けるようになるとさらに考えが深まっていく。
【説明文の学習場面で……】
授業で話し合う中で、新たに発見したことや疑問に思ったことについて振り返らせる。子どもたちの振り返りが新たな「問い」となり、さらに授業で追及していくことができるようになり、学びのサイクルができる。自分たちが出した問いを授業で扱うことで、子どもたちはさらに主体的に考えることができるようになる。
【詩の交流の場面で……】
自分たちが「こんなことを考えてみたい」「どうして~なのかな」と考えて立てためあて(子どもたちが主体で考えたいことをもとに立てためあて)について、よかったのかどうかを振り返ることで、どうしたらよかったのか方策が見つかる。よかったと思えばさらに別の場面でも活用することができるし、逆によくなかったのならば、どうすればよくなったのかを考えることで「こうしたらよかった」が見つかり、次につなげることができる。
振り返りを毎時間書かせることで、見えてきたことがある。
それは、振り返りをすることで子ども自身が学びを自覚することができるようになってくるということ。
どんなことを考えたのか、何を学んだかということを再度振り返りという形で言語化することで、自分の学びの軌跡を自覚できる。 また、振り返りを少しずつでも積み重ねていくことで、どんなことを書けばよいのかがわかり、文章量も自ずと増えてくる。
教師側としては、振り返りを通して子どもの学びを見取ることができる。今日の授業を子どもたち一人ひとりがどう捉えていたのか、教師自身が振り返ることもできる。 さらに振り返りから学びを価値づけたり、子どもの疑問や問いから授業につなげたりすることもできる。
子どもとともに授業を創っていくためにも、振り返りを活用してみてはどうだろうか。
佐藤亜耶(さとう・あや)
福島県・いわき市立御厩小学校
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