第26回全国国語授業研究大会 開催案内
第26回全国国語授業研究大会 開催案内
授業者による授業者のための研究会「全国国語授業研究会」が主催する夏の大会が今年も開催されます!!
日程は8月6日(水)の1日、対面参加のみで開催されます。
大会テーマをもとに、「主体的な学びとは?」「子どもの学びの姿をどう見とるのか?」「学びに寄り添う教師の立ち位置とは」など、2本の授業公開と、説明文教材10講座、文学教材10講座のワークショップで学び合います。光村図書の教材「銀色の裏地」「わたしはおねえさん」の作者である石井睦美先生のご講演も含め、充実の1日になること間違いなし!ぜひご参加ください。
今、なぜ「再考」なのか-学びをつなぐ子どもの姿
大会公式テキスト『学びがつながる国語授業-主体的な学び手を育てる国語授業再考』収録の座談会より
登壇者 筑波大学附属小学校国語部 白坂洋一先生/弥延浩史先生/迎有果先生/溝越勇太先生
基調提案
全国国語授業研究会会長 青木伸生
大会主題「主体的な学び手を育てる国語授業再考」を考える
国語授業再考は、「学びそのもの」の見直し
言葉の学びは、生涯終わることがない。人は言葉を通して他者と関わり、言葉を使ってものごとを認識し、言葉によって思考したり感情を表現したりしながら自らを成長させていく。言葉の学びは、一生ものである。
そうした長い時間の中で、「主体的に学ぶ」ということをあらためて考えてみる。生涯にわたって学び続ける原動力は、「楽しさ」である。言葉を学ぶことを楽しいと感じることができれば、人はだれに言われるともなく「主体的」になるはずだ。
そのように考えると、小学校の段階で、生涯にわたって言葉を学ぶことの楽しさを子どもが感じることのできるような学びをいかにつくっていくのかが、授業づくりの大きな柱となるはずである。
一方、授業づくりは教師にとって生涯学び続けるものだ。大会を通して、子どもの前に立つ教師が、どのような授業をつくることが子どもの生涯にわたって学び続ける基礎となる力を育むことになるのか。皆さんと共に考えていきたい。
子どもの学びをつなぐ
子どもの学びは、生涯つながっていくものだ。そのような視点で考えると、子どもの学びを縦軸と横軸で捉えることができる。
縦軸とは、子どもの学びの系譜とでもいうものになる。小学生での学びは、中学生での学び、高校、大学での学びにつながるし、社会人になった後にも、その人にとっての言葉の学びは続く。これが、縦軸の言葉の学びである。
横軸とは、言葉の学びの広がりである。生まれたばかりの乳児にとっての学びは親の発する言葉との出会いから始まる。幼児では保護者や幼稚園・保育所の先生が読み聞かせてくれる本の世界から、また同じ園に通う他の子どもの言葉から刺激を受けるだろう。子どもの言葉の世界は、無限に広がっていく。
国語の授業は、子どもに新たな言葉の世界を見せつつ、それまでの個人の言葉の世界をつなぎ合わせることだと捉えることもできる。
国語における主体的な学び手とは、言葉に関する自分のこだわりを、他の子とつなぎ合わせる中で、深めたり広げたり組み替えたりしようとすることのできる子どもである。
授業の中で言葉の新たな面を捉え直したり、今までにもっていなかった意味を見いだしたりすることができれば、子どもは言葉の学びを「楽しい」と感じるのではないか。そのような営みができる授業をつくりたい。
子どもの未来を見据えた授業をつくる
先行き不透明な時代を生き抜く子どもを育てるためにどのような言葉の力を育てるのか、を考えることは重要である。人は言葉でものを考え、言葉で他者と関わる。今後のAIの発達はさらに加速することだろう。その中で、情報の真偽を見抜く力、情報の裏側をさぐる力、見えていない情報に思いを巡らせる力は不可欠である。文学的な文章を楽しんで読み、人生をより豊かに生きることができるようにすることも、大切であろう。
長い人生を豊かに生きるために言葉の学びは大切である。子どもの未来を考えたうえで、今の授業を構想する必要がある。様々な手法や展開を工夫しながら、国語授業をアップデートしていく必要がある。まずもって必要なのは、教師自身の「学び続ける力」であろう。
子どもも大人も、持続可能な学びの根本は「楽しさの実感」である。教師も子どもも楽しいと思えるような授業を考えたい。一人より二人で。二人より仲間と共に。そのために、全国国語授業研究会は、ある。
令和7年8月6日