
個別最適な学びをつくる前夜
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執筆者: 青木 伸生
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個別最適な学びは、子どもが自分の課題意識をもち、自分の学び方で課題を解決していくという学びのプロセスである。これは、「主体的・対話的で深い学び」と軸を同じにする考え方であり、子どもを主語にした学びの姿そのものであるといえる。
逆に言えば、1人でも学ぶことのできる主体性のある学び手を育てなければ、個別最適な学びは成立しない。何をどうすればよいのか分からない学び手は、自分の学びのスタイルをもてていない。学ぶ力を育てることが、学び手を育てることだ。
1人でも学ぶことのできる子どもを育てるには、1人で学ぶ経験を積むことが不可欠である。当然はじめから上手に学べるはずがない。失敗こそが学びである。自分でやってみて、うまくいかなくて、軌道修正する。その繰り返しが、個別に学べる子どもを育てるのである。
口で言うのは簡単だが、教師はこれができない。子どもに失敗させることができない、あるいは、失敗のさせ方が下手なのだ。なぜならば、これまでの授業は、子どもに失敗させないように行われてきたからである。
「子どもに失敗させない授業」は、子どもが失敗しそうになったら、教師が失敗する前に助けてやればよいから簡単である。教師は今までに無数の「転ばぬ先の杖」を子どもに与え続けてきた。これでは子どもは失敗するはずがないし、失敗を悪いことだと思い、「間違えたら恥ずかしい」と言って挙手しなくなる。失敗こそ学びであることが、分かっていない故の発言だ。この先、この子どもたちが大人になって、例えば仕事で失敗したら、その子はそれに耐えられるのだろうか。
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戦争文学という括りであっても、「つけたい言葉の力」に目を向けていく必要があるのは言わずもがなである。子どもが戦争文学から何を感じ取るのか、どんなテーマを受け取るのかということは、子どもの側に委ねられるべきであり、平和の大切さを押しつけるような教材にしてはならない。 「ちいちゃんのかげおくり」「一つの花」「川とノリオ」のように、戦中を描いた作品は多く、また長く掲載されている。 今回は、この中の「一つの花」を中心に実践を紹介し、その後どのような活動を系統的におこなっていくのかということを述べていく。
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今回は、流田賢一先生(大阪府・大阪市立堀川小学校)に、給食だよりの作者である大森先生へ、「どちらの給食だよりがよいと思ったのか」について手紙を書くという課題を設けた授業づくりをご提案いただきました。この課題を通して、2つの文章を比較し、よいと思った根拠をしっかりともち、自分の考えを表現する力を育めます。
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まわりの人をうらやんで、「自分は普通でありふれた、つまらない人間なのかもしれない」 そんなふうに落ち込むこと、子どもにも、そして大人にだってあるのではないでしょうか。そんなときに「みんないろいろあるんだな」と思わせてくれて、心を軽くしてくれる一冊をご紹介いただきました。