
「つぼみ」 —表現する言葉に着目しながら読む説明文の授業-
|
執筆者: 小島 美和
|
新教材「つぼみ」は、左のページに「問い」が示され、ページをめくると「答え」がわかるというような構成になっており、クイズを楽しむように説明文の基本である「問い」と「答え」を学べる教材です。
今回は小島美和先生(東京都・杉並区立桃井第五小学校)に、初めての説明文学習であることを踏まえ、指示語が何を指し、主語は何なのか丁寧に押さえられるよう問いかけを行い、説明文の読み方が身に付く授業づくりの工夫を提案いただきました。
1年生では、「問い」に対する「答え」を考えながら、内容の大体を捉えて読むことが学習の中心となる。「問い」と「答え」の関係は、今後繰り返し学習する説明で基本となる構造である。「問い」と「答え」に着目したり、事例のまとまりを捉えたりして、説明文の読み方を学ぶということを初めての説明文学習では大事にしたい。
題名の「つぼみ」は、題材である。
ここに着目することによって、筆者が何を事例として取り上げようとしているのかを捉えることができる。
しかし、1年生の子どもたちの中には、生活経験等の差などから「花」はわかっても「つぼみ」とは何かを捉えられない子どももいるのではないかと考えられる。
そのため、生活科の学習で、たねまきをして植物を育てる学習をしていることと関連させながら、「つぼみ」とは、花がまだ開いていない状態のものであることを確認し、写真資料と対応させながら読んでいきたい。
また、本文に登場するそれぞれのつぼみの特徴や開き方、どんな花が咲くのかを説明する文章には、表現する言葉の違いがある。そこに着目しながら読み深めることで、語彙を増やしたり、言葉の理解を深めたりすることも、この時期の学習として大切にしたい。
形式段落は、全部で16段落あり、全ての段落が1文で書かれていて無駄のない文章である。
第1段落には、話題提示があり、第2段落から5段落ずつのまとまりで、「あさがお」「はす」「ききょう」という3つの「つぼみ」について比較しながら書かれている。3つの事例で同じ構成や書き方が繰り返されている。
「問い」と「答え」の文には、それぞれ「これは」という指示語が用いられている。
教科書では、「問い」から「答え」に向かう際に、ページをめくる構成となっており、「答え」のページには花の絵があるため、「これは」が何を指すのか(どの写真を指すのか)を間違えて捉えてしまうことが考えられる。
「問い」の文も「答え」の文も指示語は同じもの(つぼみの写真やどんなつぼみかを表す言葉)を指していることを丁寧に確認しながら、「問い」の文と「答え」の文を読んでいきたい。
「あさがお」「はす」「ききょう」それぞれの、「つぼみの特徴」や「つぼみの開き方」「花の咲き方」の表現には違いがある。そこに着目しながら読み、言葉の意味理解を深めていく。本文ではどう使われているか、子どもたちが日常生活で(それらの言葉を)どのように使っているのか、他の花にも使っていいかなどを問いながら、写真資料と言葉を結び付けて読むことで、その言葉のもつ意味理解を深める。
また、以下の資料の中に示す、赤字で表したような言葉については、子どもたちがまだ意味を理解できていないことも考えられるため、必要に応じて立ち止まって読んでいく。 その際、 日本語特有の表現として、主語が省略されている部分があるため、「何が」を補いながら読んでいくことも重要である。
有料記事
戦争文学という括りであっても、「つけたい言葉の力」に目を向けていく必要があるのは言わずもがなである。子どもが戦争文学から何を感じ取るのか、どんなテーマを受け取るのかということは、子どもの側に委ねられるべきであり、平和の大切さを押しつけるような教材にしてはならない。 「ちいちゃんのかげおくり」「一つの花」「川とノリオ」のように、戦中を描いた作品は多く、また長く掲載されている。 今回は、この中の「一つの花」を中心に実践を紹介し、その後どのような活動を系統的におこなっていくのかということを述べていく。
有料記事
今回は、流田賢一先生(大阪府・大阪市立堀川小学校)に、給食だよりの作者である大森先生へ、「どちらの給食だよりがよいと思ったのか」について手紙を書くという課題を設けた授業づくりをご提案いただきました。この課題を通して、2つの文章を比較し、よいと思った根拠をしっかりともち、自分の考えを表現する力を育めます。
有料記事
今回は三笠啓司先生(大阪教育大学附属池田小学校)に、本文を読み、動作化したりフキダシを用いて会話文を想像したりして、登場人物と同化してゆく学習活動についてご提案いただきました。物語のファンタジー性とごっこ遊びが好きな子どもの発達段階を結びつけ、日常と非日常を行き来する想像力が養われることでしょう。
有料記事
子どもたちを主体的な学び手としていくためには、自分事の学習になっていることが大切です。そのための有効な手立ての一つとして、学習計画を子どもたち自身が立てる、という活動があります。 今回は、迎有果先生(筑波大学附属小学校)に、初読後の感想をもとに学習計画を立てる際のポイントや、その方法を回答いただきました。
有料記事
今回は本教材の授業づくりにおいて、田中元康先生(高知大学教職大学院 教授/高知大学教育学部附属小学校 教諭)に、本文と資料①②を合わせて読み、それぞれの主張と説明の仕方を子どもたち自身でまとめるという学習活動についてご提案をいただきました。その活動を通して、筆者の考えと相対化された自分なりの考えをもつことができ、発表へ向け、わかりやすい説明の工夫にも意識的になることでしょう。
まわりの人をうらやんで、「自分は普通でありふれた、つまらない人間なのかもしれない」 そんなふうに落ち込むこと、子どもにも、そして大人にだってあるのではないでしょうか。そんなときに「みんないろいろあるんだな」と思わせてくれて、心を軽くしてくれる一冊をご紹介いただきました。