「みきのたからもの」 -低学年で「問いを中心に俯瞰した読みをする」体験をさせよう -
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執筆者: 比江嶋 哲
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本年度より登場した「みきのたからもの」(光村図書・2年)は、中心人物みきと宇宙から来たナニヌネノンとの交流を描き、次々と現れる不思議な出来事に、子どもたちがワクワクしながら読み進めることのできる物語文です。
今回は比江島哲先生(宮崎県・都城市立有水小学校)に、初読の感想を想定した上で、物語文の展開や叙述、登場人物の気持ちの変化について、子どもたちの俯瞰的な読みが進むような、問いの整理や発問の工夫をご提案いただきました。
目次
2年生11月下旬で学習する「読むこと」の学習材である。
登場人物は、みきと宇宙から来たと言うナニヌネノン。この2人の不思議な出会いから、お互いの思いを話すことで分かり合い、交流するという内容である。その後の、みきについても書かれており、題名の「たからもの」が何を指しているのか、わかるようになっている。
これまでの物語文教材と違い、自分に近い登場人物が出ていることで、自分と照らし合わせて読むことができる教材でもある。
物語の内容をおおまかに話すこと(あらすじ)については、これまで「スイミー」でお話を紹介して好きなところを伝えるという学習や、「ミリーのすてきなぼうし」で、お気に入りの本を紹介し合うという学習で行っている。
今回は、あらすじと自分が好きなところを紹介するだけでなく、登場人物の様子から行動を具体的に想像させたい。つまり、登場人物の行動が分かる言葉をおさえ、「~という言葉から○○の~という気持ち(行動)が分かります」というような学習を展開していく必要がある。
新教材「宇宙への思い」は、宇宙そのものへの感想や気持ちが表れている箇所が実は少なく、宇宙での経験や研究(事実)を通して、地球や身近なことの未来をどのように考えたのか(願い)、について最後に述べられていることが特徴的です。 本教材について、田中元康先生(高知大学教育学部附属小学校教諭/高知大学教職大学院教授)に、文末と主語に着目して読み、著者の述べている考えと事実を整理していく学習活動について提案していただきました。根拠に基づいて自分なりにまとめるため、より友だちと考えを共有し、読み深めたくなるでしょう。
授業で物語を読む楽しさは、その作品のおもしろさや主題について語り合うことにあると考えています。そのような読み手を育むことを目指して、1年生から系統的に読み方を身につけさせています。また、近年は読み方だけではなく、自ら「問い」をもち、それを追究していく学習構想力や自己調整力を培うことも意識しています。 そこで、「海の命」(立松和平 作)を中心教材とした6年生の物語単元では、子どもたちが課題を挙げ、自分の解決したい課題を選択し、互いに交流しながら主題に迫っていくように構想しました。
第4回 国語授業アップデートセミナー 開催日:2024年12月26日(木) 09:00〜12:50 公開授業と2本の講座は必見!これからの授業づくりが楽しくなります。こくちーずよりお申し込みください。
今回の5分でわかるシリーズは、佐藤圭先生(東京都・足立区立千寿小学校)に、子どもが主体となる国語の授業をつくるために、押さえておきたい指導技術のアイデアについて、ご紹介いただきました。教師が「待つ」「聴く」「受け止める」から、子どもたちも同じようにふるまえるようになる、ということが大切ですね。
2025年春 NHK朝の連続テレビ小説のモデルで話題のやなせたかし氏について、本教材ではその生い立ちからアンパンマンに込めた思いまでを説明しています。筆者である梯久美子氏は、やなせ氏と親交のあったノンフィクション作家であり、その書きぶりは、事実を基にした書き手の視点と、やなせたかしの気持ちの変化を書き分けていることが特徴的です。 今回は安井 望先生(神奈川県・横須賀市立夏島小学校)に、本教材の授業づくりにおいて、自分ならどこが一番重要な場面であると考えるのか、色紙にまとめることをゴールに、目的意識と主体的な読みが育まれるような仕掛けをご提案いただきました。
今回は松岡 整先生(高知大学附属小学校)に、本文との出合いを工夫し、新しい事柄と自身との認識のずれを生みだすことで、より主体的で探究的な読みが進むといった、当事者意識から深まる授業づくりの工夫をご紹介いただきました。