
「どうぶつの赤ちゃん」 -学びの選択肢が個と協働の学びを支える-
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執筆者: 山田 秀人
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単元名:くらべて よもう 教材:「どうぶつの赤ちゃん」(光村図書/1年)
「どうぶつの赤ちゃん」の授業づくりを紹介します。本教材は、ライオンとしまうまの2つの事例を挙げて、冒頭の問いに対する答えを説明しており、子どもが2つの事例を比較しながら読むことを促す仕掛けが工夫された説明文です。今回は、山田秀人先生(沖縄県・宜野湾市立大山小学校)に子どもたち一人ひとりが参加する国語授業を目指すための表現活動の工夫や、子どもが自分で学び方を選択できる手だての具体について、本教材での授業に沿ってご提案いただきました。
目次
ここで言う「参加」とは、学習の場に居るだけではない。子ども一人ひとりが課題をもって、その解決に向けて自分なりに活動していることだと考えている。 例えば、教師の一方的な発問により、一問一答形式の授業で、いわゆる勘のいい子どもだけが発言していく授業があったとする。勘のいい子の発言のみが板書される黒板をノートに写すだけでは、ほかの子どもたちにとって、そこに一人ひとりの学習が成立しているとは言い難い。
藤井千春によれば、「学習とは、既有の知識を使用して世界と相互作用し、自らの知識体系(概念)を修正・発展的に再構成していく知的活動」であると述べられている。このことを本単元において考えてみる。動物の赤ちゃんについて、子どもが既にもっている知識や説明文についての知識体系を教材と向き合うことで、修正・発展的に再構成していくことだと捉えた。
ここでは、そのような学習のあり方が成立する全員参加の国語授業を支える手だてとして、次の2つを紹介したい。
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本教材「たんぽぽ」について、後藤竜也先生(東京都・調布市立八雲台小学校)に、子どもたちが楽しいと思う、たんぽぽについての内容を大切にしながらも、時間や順序に関する書かれ方に気づけるよう、たんぽぽの特徴への関心から考えが広がっていくようにする、授業づくりについてご提案いただきました。
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今回は中野裕己先生(新潟大学附属新潟小学校)に、子どもたちが本教材を読んだとき、どのように感じ、考えるのかを想定した教材研究を行い、自分なりの考えで文章の構造を捉えられるようにするための、ファシリテートの方法についてご提案いただきました。
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本教材「紙ひこうき、きみへ」は、しまりすのキリリが経験する、旅を楽しむみけりすミークとの出会いと別れ、変わりゆくことを受け入れたどこか達観した彼の言動について、キリリの気持ちを想像しながら本文を読むことを通して、読者も心揺さぶられる物語となっています。 今回は山本真司先生(南山大学附属小学校)に、作品世界について想像し、自分なりの解釈を形成できるよう、他者との交流を通して、場面ごとの精査・解釈を共有し深める授業づくりをご提案いただきました。
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変化の激しい現代の社会、これから子どもたちが生きていく予測困難な時代においては、知識や技能だけでは到底太刀打ちできない。答えのない問題を解決するためには、知識を集め、技能を活用し、学び、想像し、戦略を立て、多面的に物事を見て、批判的に思考し、よりよく判断する、などといった「知性」が必要であろう。 このような知性は、教師が教え込むことができない。言い換えると、授業が教室の中だけで完結してしまっては育たない。教室で学んだ国語の学びを、答えのない問題であふれる実際の地域社会へ出て、誰かのため、社会のために、試行錯誤しながら実際に「使う」。 そんな経験をしてこそ、知性は育まれるのではないかと考える。
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たとえ教科書の順番通りに授業を行うとしても、教材ごとに最初の出合い方を一工夫するだけで、子どもたちの「読みたい!」「知りたい!」「なんでだろう?」という教材に向かう姿勢は変わってきます。 今回は、迎有果先生(筑波大学附属小学部)に、主体的な読みにつながるための教材との出会い方を回答いただきました。