「スイミー」 -子どもの追究意識に寄り添った展開を-
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執筆者: 山本 真司
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単元名:いろいろ考えよう うんと考えよう「スイミーのすごさ」
教材:「スイミー」(光村図書 2年)
「子どもが主体的に読み込んで考えを深めていく姿」を実現させることは多くの先生方の願いである一方で、簡単なことではありません。今回は、山本真司先生(愛知県・南山大学附属小学校)に「スイミー」を教材に、子どものもった疑問や考えに寄り添い、子どもたちの声をつなぎながら展開していく授業を提案していただきました。子ども同士のやりとりが具体的で、授業づくりの参考になること間違いなしです。
目次
「子どもが主体的に読み込んで考えを深めていく姿」を実現したいと考えている先生方も少なくないことでしょう。とはいえ、現実的には、教科書や指導すべき事柄があり、30人もの多様な子どもたちに学習を与えていくわけです。そんな中、子どもの主体性を発揮させようというのですから、授業づくりは簡単ではありません。
そこで今回は、2年生「スイミー」(光村図書)を教材文に、できるだけ子どもの素朴な思いに寄り添い、子ども同士の声をつなぎながら展開していく授業について提案します。
初めて教材文を読んだ子どもたちは、「スイミーってすごいな」といった感想をもつことでしょう。その感想を生かし、単元を通じて「スイミーのすごさって何?」を追究していくことに決めます。そして、子どもの素朴な気付きや疑問を受けて全体に投げ返し、各場面を行ったり来たりしながら、場面の様子について想像を広げ、スイミーのすごさについても確かめていきます。最終的には、一人ひとりが作品の言葉を根拠としながら自分の言葉で説明できるようなることを目指します。
本教材において、子どもたちが自分なりの意見をもち、話し合い、個性を認め合うことで、一人ひとりの多様さが生きる授業づくりを、髙橋達哉先生(東京学芸大学附属世田谷小学校)にご紹介いただきました。 本教材で身に付けたい力から指導内容を明確にした上で、「その子らしさ」を生かした授業を計画することで、拡散ではなく、それぞれの軸をもった子どもの「多様さ」が発揮されるようになるでしょう。
今回は小崎景綱先生(埼玉県・さいたま市立新開小学校)に、令和6年度に本教材が改訂されたことを踏まえ、「以前の文章に変更を加えることで、筆者はどのように、何を、読み手により伝えたかったのか」といった、説明文の工夫における意図や思いに迫ることで、「筆者を読む」力が身に付く授業づくりをご提案いただきました。
今回は藤平剛士先生(相模原女子小学校)に、本教材の前にある詩「生きる」と合わせて、「生きるとは何か?」といった答えのない問題を設定することで、6年生の子どもたちが今の自分と向き合ったり、探究的な見方・考え方を育めるような授業づくりの工夫をご提案いただきました。
新教材「銀色の裏地」は、新年度初めの高学年にとって身近な事柄がテーマとなっている物語文です。中心人物「理緒」の大まかな心情の変化は捉えやすいものの、細かい描写において、なぜそう思ったのか(行動したのか)明確には表現されていないため、叙述を基に、登場人物に感情移入して想像したくなります。 今回は山本純平先生(東京都・江東区立数矢小学校)に、「言ったこと」「行ったこと」「思ったこと」「繰り返し出てくる表現」の観点から細かく描写に着目し、本教材の学習後も、自力で物語文を読み進められるような力を育む授業づくりの工夫を、ご提案いただきました。
今月の「5分でわかるシリーズ」は、秋山千沙子先生(東京都・目黒区立上目黒小学校)に、子どもたちが主体的に書く学習に取り組めるための工夫をご提案していただきました。 書くことに苦手意識をもつ子どもにとってハードルが高い「新聞づくり」単元を、「オリジナル話型」を活用した話し合い活動を取り入れることで、相手意識、書く目的を自覚することにつながり、意欲的な取り組みにつながります。
今回は笠原冬星先生(大阪府・寝屋川市立三井小学校)に、説明文の4つの基本構造をはじめに押さえ、平成27年度版と令和2・6年度版の本教材を読み比べることで、説明文の構造がどのように変化したのか、それぞれにどのようなよさがあるのか、について気づける授業づくりの工夫をご提案いただきました。