登場人物への共感から読みを深める「たずねびと」の授業デザイン
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執筆者: 三笠 啓司
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単元名:私が描く「よりよい未来」
教材:「たずねびと」(光村図書・5年)
今回は三笠啓司先生(大阪教育大学附属池田小学校)に、物語文の学習で、登場人物が出合った出来事を実際に疑似体験することで、登場人物の心情の揺れ動きを実感を伴って理解することができる、「共感読み」を取り入れた授業づくりをご提案いただきました。
共感読みから生まれた自分なりの問いを全体で共有することで、子どもたちが「考えたい問い」が立ち上がり、子どもたちと一緒に単元をつくることができます。
戦争文学をどのように授業すればいいのだろうか。
このような声をよく耳にする。
戦争文学を授業化するにあたり、悩みや困りを抱えている教師は少なくないように思われる。
私自身も戦争文学と向き合う中で、以下のような悩みや困りを感じてきた。
戦争文学では、どうしても「戦争」という大きなテーマを色濃く感じてしまい、子どもと教材との距離を適度に保つことが難しいと感じてしまう。
子どもと教材との距離感は、豊かな読みの形成に大きな影響を与える。
だからこそ、戦争文学の授業においては、「作品との距離感を大切にした授業」をデザインすることで、子どもが素直な読みを表出し、他者との交流の中で多様な読みにふれさせていきたい。
本単元では、作品と子どもたちとの距離を近づけていくために共感読みを軸に、単元を構成していく。 ここでいう共感読みとは、 登場人物への共感、作者への共感を意味する。
登場人物への共感は、登場人物と自分を重ねる読みへ、作者への共感は、作品世界から感じたことを自分なりに表現する読みへと向かっていく。共感する読みが生まれる単元構成から、子どもたちから自然と作品との対話が生まれる授業をつくる。
以上をふまえて、本単元では、以下の3つの視点を軸に展開していく。
新教材「ぼくのブック・ウーマン」は、英米文学作家ヘザー・ヘンソン作、原題”THAT BOOK WOMAN”を日本語訳にした物語文教材です。原題が"MY"や”OWN”ではなく”THAT”であることから、藤原宏之訳の「ぼくの」とは、「それこそが『ぼくにとっての』ブック・ウーマン」といった、中心人物カルの印象を強調して表す意図があるのではないのでしょうか。今回は長屋樹廣先生(北海道・釧路市立中央小学校)に、中心人物カルの一人称視点から描かれる、ブック・ウーマンと本に対する捉え方がどのように変容しているのか、叙述に基づきながら丁寧に整理し、意見を交わし合うことで協働的に学び合える活動、「ミニ読書座談会」についてご紹介いただきました。
今回は三笠啓司先生(大阪教育大学附属池田小学校)に、物語文の学習で、登場人物が出合った出来事を実際に疑似体験することで、登場人物の心情の揺れ動きを実感を伴って理解することができる、「共感読み」を取り入れた授業づくりをご提案いただきました。共感読みから生まれた自分なりの問いを全体で共有することで、子どもたちが「考えたい問い」が立ち上がり、子どもたちと一緒に単元をつくることができます。
新教材「ロボット」は、「問い」と「答え」、「まとめ」がわかりやすく段落で分けられており、説明文の基本的な3部構成を確かめることのできる教材です。今回は小島美和先生(東京都・杉並区立桃井第五小学校)に、この説明文の3部構成をしっかりと押さえつつ、「問い」の「答え」となる事例の紹介のされ方や順序に意識が向くようになる、問いかけの工夫についてご紹介いただきました。
今回の5分で分かるシリーズは、根本俊彦先生(神奈川県・私立清泉小学校)に、物語文の中心人物になりきり、心情を短歌で表現する言語活動を通して、叙述一つひとつのへの意識が高まり、楽しみながら主体的に読めるようになる工夫をご紹介いただきました。
「想像力のスイッチを入れよう」の授業づくりを紹介します。本教材は、SNSが拡大する現代において、情報を適切に吟味したり、違う視点から考慮したりする大切さを伝え、これからの社会を生きる子どもたちにとって重要な情報リテラシーについて考えることができる教材です。 今回は藤田伸一先生(神奈川県・川崎市立中原小学校)に、問いかけやゆさぶり発問の工夫によって、子どもの読みたい意欲を引き出す授業づくりについてご提案いただきました。