
読後感から始まる国語科授業づくり② -4年「ごんぎつね」-
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執筆者: 弥延 浩史
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読後感を起点とした授業づくりについて今回も述べていきたい。
まず、読後感は、初発の感想に代わる実践であるということをここで断っておく。また、読後感を起点として、学習者主体で問いをつくっていくことも可能であるということは、拙稿で述べた(「読後感から始まる国語科授業づくり① -4年生「白いぼうし」—」)。
そもそも、「初発の感想を書かせる」という活動を、私自身がうまく生かしきれていないという反省点から、この実践は始まっている。初発の感想は、まず子ども一人ひとりの書く力や意欲によって文章量や内容に大きな差がでる。
子どもによって、書いている観点や文章量もばらばらで、教師が「取り扱いたい」と思う子どものものしか扱われないというケースもあるだろう。「よく書けた」とされる子どものもの、「教師のねらいを満たしている」と思われる子どものものしか取り上げられないというわけである。実際に、自身の実践をふり返っても、可能な範囲で子どもの感想を取り上げているものの、ペアやグループなどで読み合うことで「全員の感想が扱われた」とみなすことが多かった。
上記の条件にそって、「読後感をひとことで書く」ことで、全員分の読後感が可視化され、平等に扱われる。初発の感想のように長く書く必要もなく、文章を書くことを苦手と感じている子どもも抵抗なく取り組むことが可能となる。
また、同じ教材であっても、読後感はそれぞれの子どもの実態によって変わってくるところもおもしろい。
例えば、教材「ごんぎつね」の授業例は、以下のとおりとなる。
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戦争文学という括りであっても、「つけたい言葉の力」に目を向けていく必要があるのは言わずもがなである。子どもが戦争文学から何を感じ取るのか、どんなテーマを受け取るのかということは、子どもの側に委ねられるべきであり、平和の大切さを押しつけるような教材にしてはならない。 「ちいちゃんのかげおくり」「一つの花」「川とノリオ」のように、戦中を描いた作品は多く、また長く掲載されている。 今回は、この中の「一つの花」を中心に実践を紹介し、その後どのような活動を系統的におこなっていくのかということを述べていく。
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今回は、流田賢一先生(大阪府・大阪市立堀川小学校)に、給食だよりの作者である大森先生へ、「どちらの給食だよりがよいと思ったのか」について手紙を書くという課題を設けた授業づくりをご提案いただきました。この課題を通して、2つの文章を比較し、よいと思った根拠をしっかりともち、自分の考えを表現する力を育めます。
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今回は本教材の授業づくりにおいて、田中元康先生(高知大学教職大学院 教授/高知大学教育学部附属小学校 教諭)に、本文と資料①②を合わせて読み、それぞれの主張と説明の仕方を子どもたち自身でまとめるという学習活動についてご提案をいただきました。その活動を通して、筆者の考えと相対化された自分なりの考えをもつことができ、発表へ向け、わかりやすい説明の工夫にも意識的になることでしょう。
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