
「川とノリオ」 -子どもの思考をフル回転させる! 発問のつくり方-
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執筆者: 大矢直子
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単元名:表現の効果に着目し、物語の世界に浸ろう
教材:「川とノリオ」(教育出版・6年)
本教材「川とノリオ」は、太平洋戦争の時代を背景に、父の出征と戦死、母の広島での原爆死など、幼いノリオの経験する悲劇を描いた物語作品です。川の情景描写、登場人物の行動描写などから豊かに心情を読み取ることができる教材です。
今回は大矢直子先生(千葉県・浦安市立浦安小学校小学校)に、表現技法に着目して、子どもたちが読みを深め、広げるためには、どのような発問をすればよいのか、多くのアイデアをご提案いただきました。
目次
子どもが思考をフル回転させ、積極的に発言することで深め合い、教師は子どもの「言葉」を拾い広げる「思考のカロリー消費授業」を目指す。そのために必要なのは「必然性」である。「音読」「交流」「書く活動」すべてに必然性をもたせたい。言葉にこだわり、必然性のある「学習課題(単元における課題)」「補助発問」「切り返し発問」を事前に準備し、タイミングを見計らい子どもたちに投げかける。
また、物語は、読み手が自由に筆者からのメッセージを受けとれることも魅力である。個々で受け取り方が違う。だからこそ、1人では気付けない読みを知る授業に、必然性をもたせたい。1人では気付けなかった読みや言葉に出合う場の授業を展開し続ければ、「みんなと学ぶ楽しさ」を実感でき、必然性が生まれるのではないだろうか。
教師自身、日々、子どもたちと共につくり上げる授業を楽しんでいきたい。このメンバーだったからこそ、「読み」を繰り返すことで、子ども同士、教師と子どもの関係性にもつながる。「授業で学級経営」である。
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戦争文学という括りであっても、「つけたい言葉の力」に目を向けていく必要があるのは言わずもがなである。子どもが戦争文学から何を感じ取るのか、どんなテーマを受け取るのかということは、子どもの側に委ねられるべきであり、平和の大切さを押しつけるような教材にしてはならない。 「ちいちゃんのかげおくり」「一つの花」「川とノリオ」のように、戦中を描いた作品は多く、また長く掲載されている。 今回は、この中の「一つの花」を中心に実践を紹介し、その後どのような活動を系統的におこなっていくのかということを述べていく。
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今回は、流田賢一先生(大阪府・大阪市立堀川小学校)に、給食だよりの作者である大森先生へ、「どちらの給食だよりがよいと思ったのか」について手紙を書くという課題を設けた授業づくりをご提案いただきました。この課題を通して、2つの文章を比較し、よいと思った根拠をしっかりともち、自分の考えを表現する力を育めます。
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今回は三笠啓司先生(大阪教育大学附属池田小学校)に、本文を読み、動作化したりフキダシを用いて会話文を想像したりして、登場人物と同化してゆく学習活動についてご提案いただきました。物語のファンタジー性とごっこ遊びが好きな子どもの発達段階を結びつけ、日常と非日常を行き来する想像力が養われることでしょう。
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子どもたちを主体的な学び手としていくためには、自分事の学習になっていることが大切です。そのための有効な手立ての一つとして、学習計画を子どもたち自身が立てる、という活動があります。 今回は、迎有果先生(筑波大学附属小学校)に、初読後の感想をもとに学習計画を立てる際のポイントや、その方法を回答いただきました。
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今回は本教材の授業づくりにおいて、田中元康先生(高知大学教職大学院 教授/高知大学教育学部附属小学校 教諭)に、本文と資料①②を合わせて読み、それぞれの主張と説明の仕方を子どもたち自身でまとめるという学習活動についてご提案をいただきました。その活動を通して、筆者の考えと相対化された自分なりの考えをもつことができ、発表へ向け、わかりやすい説明の工夫にも意識的になることでしょう。
まわりの人をうらやんで、「自分は普通でありふれた、つまらない人間なのかもしれない」 そんなふうに落ち込むこと、子どもにも、そして大人にだってあるのではないでしょうか。そんなときに「みんないろいろあるんだな」と思わせてくれて、心を軽くしてくれる一冊をご紹介いただきました。