
子どもの「できた!」をつくる「ビーバーの大工事」の授業づくり -だいじで読むと、わかる!見える!すごい!-
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執筆者: 斎藤由佳
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単元名:「だいじな ことばは どれだろう」
教材:「ビーバーの大工事」(東京書籍・2年)
本教材「ビーバーの大工事」は、タイトルからはその大工事の目的がわからず、謎に包まれています。「ガリガリ」「ドシーン」のオノマトペや「近よって みますと、」とあるように、まさに目の前のビーバーの行動を実況しているかのように説明が展開されることで、ワクワクしながら読み進めることができ、最後に判明する、大工事の目的とその壮大さには驚きが待っていることでしょう。
今回は斎藤由佳先生(神奈川県・逗子市立沼間小学校)に、説明文を読み深める上で、「何を明らかにしたいか」「何に気をつけて読みたいか」といった、「だいじの基準」を学級で共有し、更新することで、自分なりの「だいじなことば」の探究が進むようになる授業づくりの工夫をご紹介いただきました。
目次
第2学年では、「だいじな ことばを さがしながら 読む」ということが求められる。
しかし、「だいじな ことば」とは、何を基準としているのだろうか。先生によって大事であることを判断されてしまったら、子どもたちは大人のために答え探しの旅に出ることになる。そのため、子どもたち自身が「だいじ」と、考えた理由を大切にすることが指導の肝になる。
ニュースを見るとき、新聞を読むとき、自分にとって重要なものに目がいく。
このように、「だいじな ことば さがし」は、日常的に無意識で行われているものである。この無意識を、意識的なものに転換するために、目的や意図が必要になる。また、指導するにあたり、共通の方向性を定めることも重要になる。
本単元では、「ビーバーの大工事」について詳しく読むために、「だいじな ことばを さがしながら 読む」ことを目標にする。ダムや巣をつくるためには何が大事になるのか、文章の目的を考えることによって、読み取る観点を増やしていきたい。たくさんの子が見つけた「だいじ」が、学級で共有化・一般化されたとき、それが説明文を読む基準となっていくと考える。
このように、子どもたちが自分でよりよく読むために、「だいじの基準」を設定する力こそ、身に付けてほしい読みの方略である。
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戦争文学という括りであっても、「つけたい言葉の力」に目を向けていく必要があるのは言わずもがなである。子どもが戦争文学から何を感じ取るのか、どんなテーマを受け取るのかということは、子どもの側に委ねられるべきであり、平和の大切さを押しつけるような教材にしてはならない。 「ちいちゃんのかげおくり」「一つの花」「川とノリオ」のように、戦中を描いた作品は多く、また長く掲載されている。 今回は、この中の「一つの花」を中心に実践を紹介し、その後どのような活動を系統的におこなっていくのかということを述べていく。
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今回は、流田賢一先生(大阪府・大阪市立堀川小学校)に、給食だよりの作者である大森先生へ、「どちらの給食だよりがよいと思ったのか」について手紙を書くという課題を設けた授業づくりをご提案いただきました。この課題を通して、2つの文章を比較し、よいと思った根拠をしっかりともち、自分の考えを表現する力を育めます。
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今回は本教材の授業づくりにおいて、田中元康先生(高知大学教職大学院 教授/高知大学教育学部附属小学校 教諭)に、本文と資料①②を合わせて読み、それぞれの主張と説明の仕方を子どもたち自身でまとめるという学習活動についてご提案をいただきました。その活動を通して、筆者の考えと相対化された自分なりの考えをもつことができ、発表へ向け、わかりやすい説明の工夫にも意識的になることでしょう。
まわりの人をうらやんで、「自分は普通でありふれた、つまらない人間なのかもしれない」 そんなふうに落ち込むこと、子どもにも、そして大人にだってあるのではないでしょうか。そんなときに「みんないろいろあるんだな」と思わせてくれて、心を軽くしてくれる一冊をご紹介いただきました。