「やまなし」-難解教材こそ全員参加の授業を!-
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執筆者: 久住翔子
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単元名:作品の世界を味わおう
教材:「やまなし」(光村図書・6年)
今回は久住翔子先生(新潟大学附属長岡小学校)に、教材「やまなし」について、「Which型の課題」や「ゆさぶり発問」を用いて、自分の立場を決めたり無理なく考えの視野を広げたりすることで、子どもたち全員が参加できる授業づくりをご紹介いただきました。
考えたいことについて直接問いかけるのではなく、「Which型の発問」と「ゆさぶり発問」を組み合わせることで、子どもたちの「どうしてだろう」「なぜだろう」を引き出し、考えるべきポイントが焦点化されます。
子どもたちみんなが「わかった!」「できた!」「楽しかった!」と言えるような授業、つまり全員参加の授業を行うことは、教師にとって理想の1つだと言えるのではないだろうか。「全員参加」とは、教師側からは、「子どもが課題に向き合っている」「指導事項を理解している(しようとしている)」ことなどが挙げられるだろうが、子ども側からするとどうだろうか。
私は、「この授業でここを一生懸命考えることができたな、がんばったな」と思える瞬間をつくり、子どもがそれを自覚できることではないかと考える。そのためには焦点化された問いの設定と魅力的な単元構成が不可欠である。
焦点化された問いを設定するために、子どもが自分の立場を選択する場面を生む「Which型の発問」と、子どもの感覚とのずれを生む「ゆさぶり発問」を組み合わせることが有効だと考える。
本単元で扱う「イーハトーヴの夢」の授業を例に考えてみる。
新教材「ぼくのブック・ウーマン」は、英米文学作家ヘザー・ヘンソン作、原題”THAT BOOK WOMAN”を日本語訳にした物語文教材です。原題が"MY"や”OWN”ではなく”THAT”であることから、藤原宏之訳の「ぼくの」とは、「それこそが『ぼくにとっての』ブック・ウーマン」といった、中心人物カルの印象を強調して表す意図があるのではないのでしょうか。今回は長屋樹廣先生(北海道・釧路市立中央小学校)に、中心人物カルの一人称視点から描かれる、ブック・ウーマンと本に対する捉え方がどのように変容しているのか、叙述に基づきながら丁寧に整理し、意見を交わし合うことで協働的に学び合える活動、「ミニ読書座談会」についてご紹介いただきました。
今回は三笠啓司先生(大阪教育大学附属池田小学校)に、物語文の学習で、登場人物が出合った出来事を実際に疑似体験することで、登場人物の心情の揺れ動きを実感を伴って理解することができる、「共感読み」を取り入れた授業づくりをご提案いただきました。共感読みから生まれた自分なりの問いを全体で共有することで、子どもたちが「考えたい問い」が立ち上がり、子どもたちと一緒に単元をつくることができます。
新教材「ロボット」は、「問い」と「答え」、「まとめ」がわかりやすく段落で分けられており、説明文の基本的な3部構成を確かめることのできる教材です。今回は小島美和先生(東京都・杉並区立桃井第五小学校)に、この説明文の3部構成をしっかりと押さえつつ、「問い」の「答え」となる事例の紹介のされ方や順序に意識が向くようになる、問いかけの工夫についてご紹介いただきました。
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