「未来につなぐ工芸品」の授業づくり -「読むこと」と「書くこと」の複合単元デザイン-
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執筆者: 山田 秀人
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本年度より登場した新教材「未来につなぐ工芸品」について、今回は山田秀人先生(昭和学院小学校)に、「読むこと」から「書くこと」へとつながる単元のデザインを、子どもの自然な興味・関心から引き出すために、工芸品への純粋な驚きや発見をさせながら文章の論理的な読解へと意識が向くようになる、「テレビCMゲーム」のアイデアをご提案いただきました。
本学習材では「読むこと」と「書くこと」のつながりがキーとなる。
本学習材は、「読むこと」と「書くこと」2つの領域にわたる指導事項が設定される複合単元である。4年生の子どもたちにとって、このような単元設定は、これまでにも学習してきているものである。
2年生では『紙コップ花火の作り方』(読むこと)と『おもちゃの作り方をせつめいしよう』(書くこと)。3年生では『すがたをかえる大豆』(読むこと)と『食べ物のひみつ教えます』(書くこと)が学習経験としてある(ともに光村図書)。
※『紙コップ花火の作り方』は令和6年度から掲載。
本教材『未来につなぐ工芸品』は、未来に残したい日本の文化や伝統工芸品の魅力を、国内外に向けて発信することを仕事にする大牧圭吾さんが筆者である。そのため、筆者の思いや考えが率直に文章の要旨に表れている。
文章構成も初めに筆者の考えが述べられ、本論部でその理由が挙げられている。 さらに結論部で、本論部で挙げた理由を支えにして筆者の考えがもう一度述べられている。子どもたちにとっても文章全体の構成が捉えやすい書き方になっているといえる。
また、本論部の各段落を見てみると、1文目が段落を支える中心的な文となっている。そのため、説明の書かれ方(形式面)に着目して読めば、子ども自身の書くことに援用しやすい教材といえるだろう。
※中心となる語や文を捉える際に5、6段落は丁寧に吟味する必要がある。
加えて、本教材の内容面にも注目したい。伝統工芸や伝統文化、伝統的な生活様式が題材となっていることから、我が国の伝統文化の継承やESD(持続可能な開発のための教育)、SDGs(持続可能な開発目標)という点も、今の子どもたちにとって魅力的な教材だといえる。
新教材「ぼくのブック・ウーマン」は、英米文学作家ヘザー・ヘンソン作、原題”THAT BOOK WOMAN”を日本語訳にした物語文教材です。原題が"MY"や”OWN”ではなく”THAT”であることから、藤原宏之訳の「ぼくの」とは、「それこそが『ぼくにとっての』ブック・ウーマン」といった、中心人物カルの印象を強調して表す意図があるのではないのでしょうか。今回は長屋樹廣先生(北海道・釧路市立中央小学校)に、中心人物カルの一人称視点から描かれる、ブック・ウーマンと本に対する捉え方がどのように変容しているのか、叙述に基づきながら丁寧に整理し、意見を交わし合うことで協働的に学び合える活動、「ミニ読書座談会」についてご紹介いただきました。
今回は三笠啓司先生(大阪教育大学附属池田小学校)に、物語文の学習で、登場人物が出合った出来事を実際に疑似体験することで、登場人物の心情の揺れ動きを実感を伴って理解することができる、「共感読み」を取り入れた授業づくりをご提案いただきました。共感読みから生まれた自分なりの問いを全体で共有することで、子どもたちが「考えたい問い」が立ち上がり、子どもたちと一緒に単元をつくることができます。
新教材「ロボット」は、「問い」と「答え」、「まとめ」がわかりやすく段落で分けられており、説明文の基本的な3部構成を確かめることのできる教材です。今回は小島美和先生(東京都・杉並区立桃井第五小学校)に、この説明文の3部構成をしっかりと押さえつつ、「問い」の「答え」となる事例の紹介のされ方や順序に意識が向くようになる、問いかけの工夫についてご紹介いただきました。
今回の5分で分かるシリーズは、根本俊彦先生(神奈川県・私立清泉小学校)に、物語文の中心人物になりきり、心情を短歌で表現する言語活動を通して、叙述一つひとつのへの意識が高まり、楽しみながら主体的に読めるようになる工夫をご紹介いただきました。
「想像力のスイッチを入れよう」の授業づくりを紹介します。本教材は、SNSが拡大する現代において、情報を適切に吟味したり、違う視点から考慮したりする大切さを伝え、これからの社会を生きる子どもたちにとって重要な情報リテラシーについて考えることができる教材です。 今回は藤田伸一先生(神奈川県・川崎市立中原小学校)に、問いかけやゆさぶり発問の工夫によって、子どもの読みたい意欲を引き出す授業づくりについてご提案いただきました。