「友情のかべ新聞」 -「ミステリー」の特性や魅力を味わおう-
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執筆者: 三浦 剛
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新教材「友情のかべ新聞」は、好きなものが正反対で仲が悪い東君と西君の2人が、「友情のかべ新聞」を作ったことを境になぜ仲よくなれたのか、同じクラスの一員であるぼくの一人称から真相が描かれてゆく物語文教材です。
今回は三浦剛先生(東京都・東京学芸大附属世田谷小学校)に、本教材がミステリーという文種であること、一人称視点で描かれていることを踏まえ、既習の物語文と異なる時系列や伏線を回収する場面展開の特長に着目した授業づくりを、ご紹介いただきました。
目次
本単元は、「つながりを見つけながら読み、おもしろいと思ったことを話し合おう」というめあてが設定されている。本単元で扱う「友情のかべ新聞」は、東君と西君の間で起こる出来事が、「ぼく」による一人称視点で語られるという特徴をもっている。
8場面には、「ぼく」による推理が書かれており、伏線を回収しながら読むおもしろさは、一人称視点による語りと相まって、読み手の関心をくすぐるものになっている。読み手は、東君と西君の疑わしい行動の裏側に隠された真相が明らかになっていく過程で、「ミステリー」のもつおもしろさに引き込まれていくだろう。
以上のことから、「ミステリー」という文種がもつ特性や魅力を読み味わう授業を構想することを、本単元における学習の第一義としたい。
今月の「5分でわかるシリーズ」は、秋山千沙子先生(東京都・目黒区立上目黒小学校)に、子どもたちが主体的に書く学習に取り組めるための工夫をご提案していただきました。 書くことに苦手意識をもつ子どもにとってハードルが高い「新聞づくり」単元を、「オリジナル話型」を活用した話し合い活動を取り入れることで、相手意識、書く目的を自覚することにつながり、意欲的な取り組みにつながります。
今回は笠原冬星先生(大阪府・寝屋川市立三井小学校)に、説明文の4つの基本構造をはじめに押さえ、平成27年度版と令和2・6年度版の本教材を読み比べることで、説明文の構造がどのように変化したのか、それぞれにどのようなよさがあるのか、について気づける授業づくりの工夫をご提案いただきました。
新教材「スワンレイクのほとりで」は、本文中に数多くの色彩が登場し、中心人物「歌」の一人称で、グレンとの思い出が色鮮やかに描かれるなど、情景描写の多い物語文です。野菜畑から湖へと場面が移るにつれ、色の数はどんどん増え、色たちが動き出すクライマックスでは、歌の高揚感が伝わってくるようです。 本教材について沼田拓弥先生(東京都・八王子市立第三小学校)に、情景描写に着目しながら、様々な視点から読者が「歌」に寄り添うことで、同化・異化という「登場人物との距離感」を意識した読みの力が育つ授業づくりについてご提案いただきました。
本教材では、「おかゆのおなべ」の呪文を、誰が知っていて、どのように言ったのかということが、この物語の起承転結をつくる鍵となっています。本教材の学習を通して、物語文を読む上で重要な、会話文を押さえることに意識が向くようになるでしょう。 今回は柘植遼平先生(昭和学院小学校)に、かぎ(「」)の役割や知識を深めつつ、かぎ(「」)が誰のセリフなのか本文を根拠にしながら読み進めることで、文学のおもしろさにふれられるような授業づくりの工夫を紹介いただきました。
新教材「宇宙への思い」は、宇宙そのものへの感想や気持ちが表れている箇所が実は少なく、宇宙での経験や研究(事実)を通して、地球や身近なことの未来をどのように考えたのか(願い)、について最後に述べられていることが特徴的です。 本教材について、田中元康先生(高知大学教育学部附属小学校教諭/高知大学教職大学院教授)に、文末と主語に着目して読み、著者の述べている考えと事実を整理していく学習活動について提案していただきました。根拠に基づいて自分なりにまとめるため、より友だちと考えを共有し、読み深めたくなるでしょう。
授業で物語を読む楽しさは、その作品のおもしろさや主題について語り合うことにあると考えています。そのような読み手を育むことを目指して、1年生から系統的に読み方を身につけさせています。また、近年は読み方だけではなく、自ら「問い」をもち、それを追究していく学習構想力や自己調整力を培うことも意識しています。 そこで、「海の命」(立松和平 作)を中心教材とした6年生の物語単元では、子どもたちが課題を挙げ、自分の解決したい課題を選択し、互いに交流しながら主題に迫っていくように構想しました。