
「自分事の学び」を創る文学の授業 -子どもが「問い」をつくり、「問い」で読み合い、「問い」を評価する-
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執筆者: 小泉 芳男
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単元名:作品のメッセージを探ろう
教材:「たずねびと」(光村図書・5年)
教材「たずねびと」(光村図書・5年)は、「原爆供養塔納骨名簿」に自分と同姓同名の名前を見つけたことから、「楠木アヤ」について気になった主人公の綾が、彼女について尋ねるうちに、普通に暮らす多くの人が亡くなった原爆の悲惨さや、それを忘れないでいることの大切さに気付いていく物語文です。
今回は小泉芳男先生(広島県・広島市立袋町小学校)に、「問いをつくり、決定し、問いで読み合い、問いを評価することで、あらためて問いを考える」といった、一連の探究のサイクルを繰り返すことで、「自分事の学び」を創ることのできる授業について提案していただきました。
目次
子どもが「自分事」として学ぶ姿は、授業者の理想である。
しかし、その実現は簡単ではない。
図1は、稿者が学びの場での「自分事の学び」の範囲を図化したものである。
教室内では図1のように、様々な立ち位置の子どもたちが存在する(それぞれの具体は表1を参照)。これらの子どもたちの「
そのカギとなるのは、「問い」である。「問い」があるから、学びが駆動する。
本稿では、可能な限り具体的な授業場面を示し、子ども自身が「問い」をつくり、「問い」で読み合い、「問い」を評価するという「国語学習サイクル」(香月2023)による授業展開を提案する。
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リフレクション型国語科授業の授業原理は、「問いを学習者である子どもが決める」ことです。では、説明文で問いを立てる際のポイントはどこにあるのでしょうか。それは、問いをどこに向かって立てていくのかに関わってきます。 説明文の場合、問いを「筆者」に向けて立てていきます。説明文の内容も、述べ方も、主張も、それを束ねるのが筆者です。筆者に向けて問いを立てていくことで、読むことが機能するといえます。 本稿では、「時計の時間と心の時間」(光村図書・6年)を例に、問いを立てる場面で大事にしたいポイントを紹介します。その上で、決まった問いで、どのような読み合いが展開されたのかを紹介します。
国語探究つくばゼミ 時計の時間と心の時間 筑波大学附属小学校
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今月の「5分でわかるシリーズ」は、遊免大輝先生(大阪府・大阪市立友渕小学校)に、書いた文章を友だちと読み合い、気付きを教え合う活動を通して、他者意識をもって文章を推敲できるようになる工夫をご提案いただきました。
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本教材において、子どもたちが自分なりの意見をもち、話し合い、個性を認め合うことで、一人ひとりの多様さが生きる授業づくりを、髙橋達哉先生(東京学芸大学附属世田谷小学校)にご紹介いただきました。 本教材で身に付けたい力から指導内容を明確にした上で、「その子らしさ」を生かした授業を計画することで、拡散ではなく、それぞれの軸をもった子どもの「多様さ」が発揮されるようになるでしょう。
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今回は小崎景綱先生(埼玉県・さいたま市立新開小学校)に、令和6年度に本教材が改訂されたことを踏まえ、「以前の文章に変更を加えることで、筆者はどのように、何を、読み手により伝えたかったのか」といった、説明文の工夫における意図や思いに迫ることで、「筆者を読む」力が身に付く授業づくりをご提案いただきました。