
「せっちゃくざいの今と昔」 ―どうする?! 要約文―
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執筆者: 藤平 剛士
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単元名:きょうみを持ったことをしょうかいしよう
教材:「せっちゃくざいの今と昔」(東京書籍・3年)
本教材「せっちゃくざいの今と昔」は、本文の中から、伝えたいことを要約し、しょうかいすることが学習のめあてとなります。
今回は藤平剛士先生(神奈川県・相模女子大学小学部)に、つまづきがちな「要約を書く」ことについて、「要点」「要約」「要旨」について整理することで、「要約の書き方」の基本型を提示していただき、実際の授業展開においてどのように指導をすればよいのかまで、提案いただきました。
本稿は「国語授業 お悩み相談室」のコーナー、「Q. 要旨と要約のちがいって何?」とつながる内容になりますので、ぜひこちらも合わせてご覧ください。
目次
単元名「きょうみをもったことをしょうかいしよう」は、新教材「せっちゃくざいの今と昔」に書かれていることを読み取り、文章の中で興味をもった内容を要約し、紹介し、感想を伝え合うという学習の流れが設定されています。育みたい言葉の力も、「要約する」となっており、文章の内容を短くまとめる要約には、どのようなことに気を付ければよいのかを学習する流れとなっています。
みなさんは、「子どもたちに、要約文って、どうやって書かせればいいんだろう……」「要約文指導ってどうやればいいんだろう……」と、困ったり、思ったりしたことはありませんか。私は、長い間悩んでいました。指導書にも、要約文の例は掲載されているが、要約文の書き方は明確に記載されていません。また、私にとっては、「要点」「要約」「要旨」という用語も、悩みの種でした。その結果、私は、説明文の授業に苦手意識をもっていました。要約は、「説明文の壁」といっても言い過ぎではないと思っていました。
ある研究会で、「要約文を書くために、説明文を読むのではないよ。説明文を読むことで、要約することができる読みの力をつけることが大切」と教わりました。すぐには理解できませんでしたが、少しずつ、「書く < 読む」ということを意識して授業をすると、子どもたちの声が、大きくなってきたことを感じました。そこで、あらためて、説明文を読むことの指導事項を見直しました。
まず、学習指導要領「説明的文章」では、「ウ 中心となる語や文を見つけて要約する(中)」「ア 文章全体の構成を捉えて要旨を把握する(高)」ことが、「読むこと」領域の指導事項となっています。要約文や要旨文を「書くこと」が目的ではなく、1・2年で重要な語や文「要点」を学び、3・4年で文章全体のあらまし、「要約」へつなげ、そして、5・6年で筆者の考えの中心「要旨」をどのように読み取るのか、が大切な学びの目的となっています。
また、「要点」「要約」「要旨」をまとめる目的を確認すると、つぎのようになります。
白石範孝(2022)『白石範孝の国語授業の教養』東洋館出版社
(「国語授業 お悩み相談室」2025年4月3日「Q 要旨と要約のちがいって何?」より)
そして、「要約」がめあてとなっている教科書教材を、次のようにまとめてみました。
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戦争文学という括りであっても、「つけたい言葉の力」に目を向けていく必要があるのは言わずもがなである。子どもが戦争文学から何を感じ取るのか、どんなテーマを受け取るのかということは、子どもの側に委ねられるべきであり、平和の大切さを押しつけるような教材にしてはならない。 「ちいちゃんのかげおくり」「一つの花」「川とノリオ」のように、戦中を描いた作品は多く、また長く掲載されている。 今回は、この中の「一つの花」を中心に実践を紹介し、その後どのような活動を系統的におこなっていくのかということを述べていく。
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今回は、流田賢一先生(大阪府・大阪市立堀川小学校)に、給食だよりの作者である大森先生へ、「どちらの給食だよりがよいと思ったのか」について手紙を書くという課題を設けた授業づくりをご提案いただきました。この課題を通して、2つの文章を比較し、よいと思った根拠をしっかりともち、自分の考えを表現する力を育めます。
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今回は三笠啓司先生(大阪教育大学附属池田小学校)に、本文を読み、動作化したりフキダシを用いて会話文を想像したりして、登場人物と同化してゆく学習活動についてご提案いただきました。物語のファンタジー性とごっこ遊びが好きな子どもの発達段階を結びつけ、日常と非日常を行き来する想像力が養われることでしょう。
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子どもたちを主体的な学び手としていくためには、自分事の学習になっていることが大切です。そのための有効な手立ての一つとして、学習計画を子どもたち自身が立てる、という活動があります。 今回は、迎有果先生(筑波大学附属小学校)に、初読後の感想をもとに学習計画を立てる際のポイントや、その方法を回答いただきました。
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今回は本教材の授業づくりにおいて、田中元康先生(高知大学教職大学院 教授/高知大学教育学部附属小学校 教諭)に、本文と資料①②を合わせて読み、それぞれの主張と説明の仕方を子どもたち自身でまとめるという学習活動についてご提案をいただきました。その活動を通して、筆者の考えと相対化された自分なりの考えをもつことができ、発表へ向け、わかりやすい説明の工夫にも意識的になることでしょう。
まわりの人をうらやんで、「自分は普通でありふれた、つまらない人間なのかもしれない」 そんなふうに落ち込むこと、子どもにも、そして大人にだってあるのではないでしょうか。そんなときに「みんないろいろあるんだな」と思わせてくれて、心を軽くしてくれる一冊をご紹介いただきました。