「きつねのおきゃくさま」 ―繰り返しを意識して取り組み読みの手立てを増やそう―
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執筆者: 柘植 遼平
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今回は柘植遼平先生(昭和学院小学校)に、低学年の子どもたちに、これからの物語文学習に向け、「くりかえし」という読みの「物差し」を身につけられるような授業づくりについてご提案いただきました。
くりかえしの表現を探し比較する学習活動を通して、きつねの気持ちの変化を読み取り、既習教材「はるねこ」にも学びを広げていきます。自ら物語の工夫に気づき、発展的に活用できることを通して、主体的な読み手を育むことができます。
目次
低学年の子どもたちが物語文を読む際には、その発達の特性段階から、作品の中に入り込んで読むことが多い。中心人物の気持ちを考えたり、もし自分だったらと考えたりするなど、学習の中心がないようそのものになりがちである。勿論、そういった学習にも意味はあり大切なことである。 また、物語文の学習では場面読みを行いがちである。これも特に低学年では大切なことであり、行うべきことである。しかし、いつまでも場面読みをしていると、全体での変容や伏線に気づきにくくなってしまう。
6年生まで物語文学習が続くこと踏まえると、気持ちだけを考えているのではいけない。物語の学習は繰り返しの学習であり、既習の学習内容を使いながら徐々に複雑な内容の話を学習していく。 その際に、使える読みの「物差し」となる手立てが子ども自身に必要となってくる。そうでないと、中、高学年で10ページを超える長い物語文を読むことが難しくなる。読みの「物差し」は、徐々に養っていく必要があり、低学年の場合は教師が意図的に示して気づけるようにしていかないと、なかなか身につかないものである。
そこで、本教材では、文章全体を捉えていく為に「くりかえし」の表現に着目させたい。「くりかえし」という「物差し」自体は、実は1年生のときの「おおきなかぶ」で学習済みではある。表現の繰り返しも行動の繰り返しも短い文章の中に組み込められていて、多くの学校では、その点を活かした音読劇などをしているのではないだろうか。しかし、そのときに獲得した「くりかえし」という「物差し」をうまく活用できていないことが多いのではないだろうか。
そのため、本実践では、あらためて「くりかえし」という「物差し」を物語文読解の手立てとして獲得させたい。そして、「くりかえし」を活用することで物語全体に目を向ける必要性と大切さを体感させていきたい。
「きつねのおきゃくさま」は、「文章表現のくりかえし」「行動のくりかえし」「発言のくりかえし」「展開・場面のくりかえし」など、たくさんの「くりかえし」が散りばめられている教材である。「くりかえし」があることで、物語の展開が読みやすいこと、気持ちの変化が捉えやすいこと、物語のおもしろさにつながることなど様々なことが見えてくる。それらを探すことで場面ごとの読みから、物語全体を丸ごと読む学習へとつなげていきたい。
このように、物語を少し俯瞰して読む(書き手を想像する)学習を1年生のうちから少し意識して取り組むことで、読みの「物差し」を獲得し、次の物語文を学習する際や読書を楽しむ際に、「まずは、くりかえしを探してみよう」「くりかえしが出てきたぞ」「同じこと言っている」と気づける子どもたちに育てていきたい。
