「人間は他の生物と何がちがうのか」 ―ねらいをシンプルにして言語活動を工夫することで、短時間でも自分事の学びを―
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執筆者: 牧園 浩亘
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本教材は、ツチハンミョウの生態を具体例に、生物は「種の保存」を優先する一方で、人間は「個体の命」を最重要に考えるという独自性を明らかにし、その背景には、言葉によって世界を理解し、価値観を共有できる人間の特性があることが述べられます。
今回は牧園浩亘先生(大阪府・大阪市立巽南小学校)に、章構造を読み取り、キャッチコピーづくりなどの言語活動を通して、要旨を踏まえた自分の考えを言葉で表現する力を育てる授業づくりについてご提案いただきました。
目次
言葉で世界を解き明かそう
「人間は他の生物と何がちがうのか」は、題名そのものから読者を惹きつける内容となっている。ツチハンミョウという昆虫の不思議な生態を入り口に、「人間だけが個体の命を最重要に考えている」という人間の独自性を明らかにしていく説明文である。①段落から④段落で、ツチハンミョウの非効率かつ過酷な生存戦略を具体例として描き、生物にとって「種の保存」が最優先であることを示している。そのうえで、⑤段落で人間は「個体の命」を尊重し、基本的人権という価値観を共有している点で他の生物と異なると論じていく。さらに、その背景には「言葉」という人間特有の発明があると筆者は述べ、言葉の力を磨くことの重要性を読者に訴えている。
本教材は、生物の不思議さから人間の生き方へと視野を広げられる文章構成になっており、科学的事実と人文的考察がバランスよく組み合わされて筆者の主張が述べられている。「人間らしさ」「命の価値」「言葉の力」「学ぶ意味」などのテーマは、卒業を間近に控えた6年生たちが、自分の生き方と重ね合わせて読むのにも適した教材である。
