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    5分でわかる 「これから」の作文指導 「書くこと」におけるアナログ×デジタルのハイブリッド指導  ―思考は鉛筆で深く、記述・推敲はキーボードで軽やかに―

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    5分でわかる 「これから」の作文指導 「書くこと」におけるアナログ×デジタルのハイブリッド指導  ―思考は鉛筆で深く、記述・推敲はキーボードで軽やかに―

    5分でわかる 「これから」の作文指導 「書くこと」におけるアナログ×デジタルのハイブリッド指導  ―思考は鉛筆で深く、記述・推敲はキーボードで軽やかに―

    執筆者: 遊免大輝

    |

    2025年12月25日

    12月号の「5分でわかるシリーズ」は、遊免大輝先生(大阪府・大阪市立友渕小学校)に、 アナログとデジタルの「いいとこ取り」によって、子どもたちが「書くこと」を楽しめるようになるアイデアについてご提案いただきました。
    思考段階では手書きでアイデアを深め、記述・推敲段階ではデジタルの修正しやすさを活かすことで、書く意欲と推敲力を高めます。

    目次

    1. 「先生、何を書いたらいいかわかりません」の壁  ―教室を覆う“書くこと”への重たい空気― 2. 「思考」はアナログで深く、「記述」はデジタルで速く ―劇的効果を生む“使い分け”の極意― 3. 4コマ漫画が「創作物語の設計図」になる ―迷わず書き出せる授業デザイン― 3—1. 【アナログ】「骨」を作る:4コマ漫画なら、構成の悩みは遊び感覚でクリアできる 3—2. 【デジタル】「肉」を付ける:1000文字の壁を軽々と越える「書き直せる安心感」 3—3. 【デジタル】「推敲」を楽しむ:コメント機能が育む“高め合う教室” 4. まとめ

    1. 「先生、何を書いたらいいかわかりません」の壁  ―教室を覆う“書くこと”への重たい空気―

    「次は、作文の学習です」と告げた瞬間、教室に漂う重たい空気を感じたことはないだろうか。
    原稿用紙を前にして鉛筆が止まる子ども。最初の一行目がどうしても書き出せない子ども。そして必ず聞こえてくる「先生、何を書いたらいいかわかりません」「どうやって書けばいいの?」という悲鳴にも似た声。中学年頃から顕著になる「書くこと」への苦手意識は、多くの教師が頭を悩ませる共通の課題である。

    子どもたちの「困りごと」を分析してみると、大きく2つの壁が見えてくる。1つは「書くイメージが湧きにくい」という内容生成の壁。もう1つは「文章をどう組み立てればよいかわからない」という構成力の壁である。さらに、まとまった分量の物語を書く経験自体が不足していることも、心理的なハードルを上げている。

    そんな中、GIGAスクール構想によって1人1台の端末が整備された。「ICTを使えば、作文嫌いの子どもも変わるのではないか」。そんな期待の一方で、現場には戸惑いもある。「キーボード入力に必死で思考が浅くなるのでは?」「手書きのよさが失われるのでは?」「コピペのような文章になるのでは?」といった懸念である。

    実際の作文授業において、市川伸一(1994)はワープロソフトの使用による「構成の甘さ」や「思いつき的な記述」を懸念し、高井太郎(2018)も「文字を書く経験の不足」を指摘している。漫然とデジタル端末を使わせるだけでは、こうした懸念は現実になりかねない。

    しかし、デジタルの恩恵もまた計り知れない。細川太輔(2012)が述べるように、コンピュータは「文章の吟味を容易にする」役割を果たすとし、Google for Education(2022)の報告でも、書き直しの負荷が減ることで子どもたちが前向きになり、「書くこと」が日常化したとされている。アナログ(手書き)のよさと、デジタル(ICT)の利点。この互いのよさを「いいとこ取り」するにはどうすればよいのか。本稿では、「書くこと」における「アナログとデジタルの融合」による、新しい作文指導の形を提案したい。

    2. 「思考」はアナログで深く、「記述」はデジタルで速く ―劇的効果を生む“使い分け”の極意―

    私が提案する「アナログとデジタルの融合」とは、作文のプロセスに応じて媒体を使い分けるシンプルな手法である。具体的には、「内容・構成を考える思考の段階」では手書き(アナログ)を用い、「実際に文章を書く記述の段階と推敲する段階」では端末(デジタル)を用いる。
    なぜ、思考段階でアナログにこだわるのか。それは、物語の全体像を構想する際、自由な発想を広げてイメージを可視化するには、手書きの方が適しているからである。特に中学年の段階では、キーボード操作自体に気を取られ、肝心の内容構成がおろそかになるリスクがある。まずは鉛筆を持ち、紙の上でじっくりとアイデアを練る。図や矢印を自由に書き込みながら思考を巡らせる時間が、豊かな物語を生み出す土壌となる。

    一方で、構成が決まった後の記述・推敲段階では、デジタルの強みが最大限に活きる。手書き作文において、子どもたちが最も嫌がるのは「書き直し」である。一文字の間違いで消しゴムを使い、用紙が黒く汚れる。構成を変えたいと思っても、「書き直すのが面倒だから」と妥協してしまう。これでは「推敲する力」は育たない。デジタルであれば、修正は一瞬である。文の入れ替えも、削除も、挿入も自由自在。この「失敗してもすぐ直せる」という心理的なハードルの低さが、子どもたちの「もっと書きたい」「もっとよくしたい」という意欲を引き出すエンジンとなるのである。

    つまり、

    • ・【思考・構成】=手書き(アナログ)でじっくりと骨組みを作る
    • ・【記述・推敲】=デジタルで効率的に肉付けをし、書いた文章を磨き上げる

    この役割分担こそが、子どもたちの「書く力」を飛躍させる鍵となる。

    3. 4コマ漫画が「創作物語の設計図」になる ―迷わず書き出せる授業デザイン―

    では、実際の授業(「山場のある物語を書こう」東京書籍・4年)での実践を紹介する。

    本単元の目標は、組み立てを工夫して物語を書くことである。そこで私は、アナログと思考を結びつけるツールとして「4コマ漫画」を採用した。

    3—1. 【アナログ】「骨」を作る:4コマ漫画なら、構成の悩みは遊び感覚でクリアできる

    まず、子どもたちは「設定・登場人物・山場」などの要素を考え、構成メモを作成する。そして、そのメモをもとに画用紙に4コマ漫画を描く。

    「起・承・転・結」を意識させる上で、4つの枠という視覚的な構造は非常に有効である。  

    • 1コマ目:日常の様子  
    • 2コマ目:事件のきっかけ  
    • 3コマ目:山場(ピンチや大きな出来事)  
    • 4コマ目:結末

    子どもたちは、楽しみながら絵を描き、吹き出しにセリフを書き込んでいく。この段階では文章の巧拙は問わない。物語の「骨組み」をしっかり作ることが目的である。

    「3コマ目が一番盛り上がるよ!」
    「ここでこんなことが起きたらおもしろいかな?」

    友だちと見せ合いながら構想を練る「絵で考える」プロセスが、書くことへの抵抗感を下げていく。

    写真1 4コマ漫画で物語の構成(骨組み)を考える
    資料 子どもが実際に使用したワークシート

    【ダウンロード】子どもが実際に使用したワークシートpdf.

    3—2. 【デジタル】「肉」を付ける:1000文字の壁を軽々と越える「書き直せる安心感」

    しっかりとした「骨(4コマ漫画)」ができたら、いよいよ「肉(文章)」を付ける段階である。ここからはGoogleドキュメントを使用する。子どもたちは、自分の描いた4コマ漫画を横に置き、その世界を文章に変換していく。「書き方ミニレッスン」として、オノマトペや心内語、会話文の効果的な使い方を指導した上で、記述に向かわせた。「先生、もう1000文字超えました!」「まだ書きたいことがある!」という声が教室のあちこちから聞こえる。

    4コマ漫画という設計図があるため、書く内容に迷いがない。さらに、デジタル特有の修正の容易さが、「間違ってもいいからどんどん書こう」という安心感につながっているようであった。

    写真2 4コマ漫画に肉付けをして文章を記述する

    3—3. 【デジタル】「推敲」を楽しむ:コメント機能が育む“高め合う教室”

    書き上げた物語をクラスの友だちと共有し、互いに読み合ってコメントを付け合う。デジタルのコメントは修正を強制するものではなく、あくまで「提案」や「質問」として機能する。

    • 「この場面の気持ち、もっと詳しく知りたいな!」
      「『うれしい』じゃなくて、飛び跳ねるような様子を書いたらどう?」
      「ここの山場、ドキドキ感が伝わってくるよ!」

    友だちからのコメントは、子どもたちにとって大きなモチベーションになる。指摘された箇所をその場で修正し、よりよい表現を模索する。個人での推敲、友だちとの相互推敲、そして再度の個人推敲。このサイクルを回すことで、文章はみるみる洗練されていった。

    写真3 「個人」と「相互」を往還し、推敲を重ねる

    4. まとめ

    「書くことは苦しい」から「書くことは楽しい」「もっと書きたい」への変容は、ICTというツールがあったからこそ実現できたものである。

    思考はアナログで深く耕し、記述はデジタルで軽やかに広げる。このデジタルとアナログの融合こそが、「これから」の作文指導のスタンダードになっていくのではないだろうか。子どもたちの「書きたい」という思いに火をつけるために、ぜひ全国の先生方の教室でも、鉛筆と端末の「いいとこ取り」を試してみてほしい。


    【参考文献】

    • ・細川太輔(2012)「コンピュータを使って書く」『教材学研究第23巻』pp.197-204
    • ・Google for Education(2022)「活用ライブラリ」
    • ・市川伸一(1994)『コンピュータを教育に活かす』勁草書房, p.143
    • ・高井太郎(2018)「ICTを活用した作文授業ワークショップの実践―1人1台のChromebookが使用可能な中学1年生を対象として―」『国語科教育 84巻』
    • ・遊免大輝(2025)「低学年期の『相互推敲』における指導法の検討」『国語教育探究 第38号』pp.26-33

    遊免大輝(ゆうめん・だいき)

    大阪府・大阪市立友渕小学校

    東京・国語教育探究の会(会員)/「立体型板書」研究会(事務局長)

    遊免大輝先生の記事一覧はこちら
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