2つのアプローチで「大造じいさんとガン」を攻略する
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執筆者: 青木 伸生
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単元名:「大造じいさんとガン」を読もう
教材:「大造じいさんとガン」(光村図書・東京書籍・教育出版 5年)
今回は、青木伸生先生(昭和学院小学校校長)に、子どもたちが本教材「大造じいさんとガン」を読み深め、自分なりの攻略法を見いだす2通りの単元づくりをご提案いただきました。
いずれも作品全体の構造をとらえ、表現技法や人物の心情変化を読み取る力を伸ばし、最後には、主題について自分の言葉で表現する力が身につきます。
目次
物語の一番の骨組みは「A → A'」である。
物語は、はじめと終わりで何かが大きく変わる。
「大造じいさんとガン」では、中心人物である大造じいさんの、残雪に対する見方が変わる。もっと言えば、狩人として生きてきた大造じいさんの、獲物に対する見方・考え方が変わる。この変容をしっかりととらえることが、この作品を読むことになる。
また、物語は、いくつかの構造をもっている。典型的な構造は「おおきなかぶ」のような「くり返し」である。もう1つは、「モチモチの木」に代表されるような「起承転結」の構造だ。「大造じいさんとガン」は、この2つの構造を組み合わせたような、いわば「ミックス型」の作品構造になっていると言える。大造じいさんは、残雪やガンを捕らえるためにくり返し作戦を立てるが、ことごとく残雪に見破られたりして失敗する。ここがくり返し構造の部分である。そして、最後のクライマックス場面でハヤブサが登場するという「事件」が起きる。
以上の、くりかえし構造+クライマックスでの事件というミックス型の構造によって、この作品は成り立っている。こうした作品構造をとらえつつ、大造じいさんの変容を読むことで、この作品が深く理解できる。
さらに、この作品には、いかにも文学らしい表現技法が散りばめられている。その代表が「情景描写」であろう。様々な色彩表現を駆使しながら、大造じいさんの心情を豊かに描き出している。また、擬音語擬態語のオノマトペを効果的に使ったり、語り手の視点を巧みに変化させて、場面の緊迫感を高めたりもしている。様々な表現技法を見つけ出し、その効果について考えることも、この作品を読み味わうことにつながる。
このように、この作品は、5年生のこれまでに子どもが積み上げてきた「読むときの目のつけどころ」を様々に駆使しながら内容理解を深めていくことができる、優れた学習材であることがわかる。
そこで、これから大きく2つの実践事例を紹介し、この作品を読み味わうための単元づくりの手がかりを示したい。
