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    明日もまたがんばろうと勇気をくれる一冊

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    明日もまたがんばろうと勇気をくれる一冊

    明日もまたがんばろうと勇気をくれる一冊

    執筆者: 髙橋 昌⼦

    |

    2025年12月4日

    書名:「聞き合う力」「考え合う力」を鍛える授業
    著者名:菊池省三
    出版社:小学館
    出版年:2025年
    ページ数:207

    今月の「教師の必読書」をご紹介いただくのは、髙橋昌子先生(東京都・大田区立嶺町小学校)です。「~し合える」というのが学級という社会の中で共に幸福に過ごしていくための大切な要素ではないでしょうか。そんな「聞き合う力」「考え合う力」を育てるヒントがつまった一冊をご紹介いただきました。

    目次

    はじめに 書籍紹介 おすすめポイント (1)「聞こう」ではなく「聞き合おう」 (2)「輪・話・和」 結びに 併せて読みたい本

    はじめに

    私たちが子どもたちとともに学校生活を送る中で、一番多くの時間を過ごしているのが「授業」です。だからこそより楽しい時間にしたいですし、子どもたちにとってあっという間に感じるくらい夢中な時間にしたいと思っています。そういう時間を子どもたちと一緒に創っていくというイメージを描くことで授業づくりへの捉え方も明るくなったように感じます。
    私が、子どもたちが授業の楽しみ方を見つけたり、夢中になって取り組んだりするときの支えとなるのは何だろうと考えたときに大切にしたいと思ったことは「他者との学び合い」でした。他者との学び合いによって「楽しみを見つけるチャンス」や「夢中になるきっかけと出会う瞬間」は格段に広がります。その瞬間を拾うチャンスを広げるためにも「学び合える子」を育てていきたいと思っています。

    書籍紹介

     「輪・話・和」
    書店に並んでいる本書をパッと見たときに目に留まったのがこの言葉でした。
    筆者である菊池先生も長年小学校の教員をされてきた方で、自身の経験や実践をもとに本書を書いています。子どもたちの「学び合い」を実現させるためにどのように学級をつくり、どのようなタイミングで声を掛けるようにしているのかなど、すぐに実践できるヒントがたくさんありました。  
    「学び合い」を大切にされている先生はもちろんですが、温かい学級をつくっていきたいと考えている先生、授業を通して学級経営をするイメージを深めたい先生にも読んでいただきたい一冊です。
    本書を通して、教員が子どもたちにかける言葉一つの違いで子どもたちの受け取り方が変わること、子どもたちの受け取り方が変われば、その集団の雰囲気(空気感)も変わり、他者意識が生まれていくことなど、たった一つの工夫が多くの変化に繋がっていくことを感じていただけると思います。

    おすすめポイント

    (1)「聞こう」ではなく「聞き合おう」

    • 「聞こう」ではなく「聞き合おう」という言葉かけをすることで、子どもたちの捉え方は「相手を意識」するようになる。「聞く」「伝える」では一方通行になるが、「〇〇合う」は個と集団をつなぐ大切なキーワードとなる。

    実際の授業を想像して考えると、「聞き合おう」と言われた子どもたちは、顔を向かい合わせにして相手の話を聞こうします。そのようにして相手意識が育っていくと、学級の雰囲気(空気感)も温かくなっていき、子どもたちの中にも安心感が芽生えていくのではないでしょうか。
    安心感は、自分の考えを表現することが苦手な子どもにとっても、その壁を乗り越えていく手助けになることであり、自分の考えを聞いてくれる仲間がいることは子どもたちにとってとても嬉しいことです。

    (2)「輪・話・和」

    • 「輪」は手を携えて協力し合う関係や絆を表し、「話」は対話、「和」は和やかな関係性という意味をもちます。この3つの「わ」がそろって、人同士のつながりが豊かになるといいます。

     「対話」。⾃分の考えを表現することと相⼿の考えを聴くことで対話は成り立ちます。
    しかし、⾃分の考えを優先させてしまい、納得できないと機嫌を損ねてしまう⼦も少なくありません。実際、数⼈で話し合いをするときにも「輪」になることが難しい⼦どもがいるのも現状です。
    初めはそういった難しい状況でも、まずは相⼿の話を「聴くこと」から始め、相⼿の話が聞けるようになったら、うなずいたり⾔葉を返したりする姿に価値づけをしていくと「聞く」が「聞き合う」に変わっていきます。
    そうすると⼦どもたちの姿勢も相⼿の⽅へ⾝体を向けたり、⾃然と輪になったりと変化し、対話が⽣まれます。全体的に対話が成り⽴つということは、⼦どもたちが互いに認め合う⼼(和)が育ってきている証なのではないかと思います。
    学び合う⼦どもたちの変化は、すぐにはかれるものではありません。日々の学校生活の中で、価値づけたいタイミングで声をかけ、⼦どもたちとともに「学び合う授業」を創っていくというイメージで、⽉⽇をかけて取り組んでいくことが⼤切なのではないかと感じています。

    結びに

    まったく別のジャンルの本であっても、物語であっても、その本の内容が、一文が、一言が「教員」という仕事をしていく中での支えとなったり、立ち返るきっかけとなったりするのではないかと思いながら、私は本を読んでいます。
    子どもたちが多感な時期に数えきれないくらいの多くの時間を共にし、様々な瞬間に立ち会いながらひとりひとりを育てていくこと、今私たち小学校教員がしている一つ一つが子どもたちの未来に確実に繋がっていると信じ、皆さんとこの職業を楽しんでいけたら嬉しいです。

    併せて読みたい本

    • 鈴木有紀『教えない授業 美術館発、「正解のない問い」に挑む力の育て方』英治出版、2019年
    • 須江航『仙台育英日本一からの招待 幸福度の高いチームづくり』カンゼン、2022年
    髙橋昌⼦先生

    髙橋昌⼦(たかはし‧しょうこ)

    東京都・大田区立嶺町小学校教諭

    全国国語授業研究会監事

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