難しいからこそ、思い切り読解しよう! 天才作家との闘いをみんなで楽しむ! ―「雪わたり」―
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執筆者: 小崎 景綱
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単元名:問いを立て、物語の展開や表現の効果について、考えを広げよう
教材:「雪わたり」(教育出版・5年)
本教材「雪わたり」は、狐の兄弟と人間の子どもが雪原で出会う幻想的な物語であり、雪の上を音楽のように歩く「狐の幻燈会」を通して自然と動物の世界が鮮やかに描かれます。その楽しさに惹き込まれる一方で、現実と幻想の境界や、人と動物の共生・隔たりについて考えさせられ読みが促される点に大きな特徴があります。
今回は小崎景綱先生(埼玉県・さいたま市立新開小学校)に、子どもと作品との接点をつくりながら、問いづくりと読解の楽しさを共有し、最終的に子どもが自力で文学に挑めるように育む授業提案をいただきました。
目次
物語そのものが子どもたちを引きつけ、豊かな想像の世界に誘う力を備えているのは言うまでもない。そばに置かれた物語を自然に手に取り、子どもたちそれぞれが物語世界を独自に楽しめるというのであれば、余計な手助けはいらない。
しかし、様々な娯楽にあふれ、ゲームやショート動画につい時間を消費することに慣れている子どもたちに、宮沢賢治のおもしろさを素朴に享受できる隙間はもはやないのかもしれない。そのくらい、賢治の物語は一見して難しく、手が遠のく子どもも少なくないと思われる。 そんな子どもたちに、賢治との接点をつくり、物語の難解さこそを楽しみ、みんなでああだこうだ言いながら読解していくおもしろさを味わわせ、作品の楽しみ方を体得させるのが、学校・教師の役目だと考える。子どもたちが自力で考え始めるスタートラインまで、教師が上手くエスコートし、一緒に考えることを一緒に楽しみながら作品世界を読み解いていく授業を実現したい。そのように授業計画をしてみた。
これまでの様々な実践を参考にしつつ、私が特に大切にしたいポイントをいくつか挙げていく。様々な細かい手立ては存在するが、以下に大きなスタンス示す。
