探究型国語授業 ―2年「スイミー」(光村図書)-
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執筆者: 溝越 勇太
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目次
『スイミー』はアメリカの絵本作家レオ=レオニ作の絵本である。谷川俊太郎の翻訳で、1977年より49年間もの間光村図書の教科書に掲載されている。
本教材は、赤い魚の群れの中で「一ぴきだけは、からす貝よりもまっくろ」なスイミーが、知恵を絞り、仲間を飲み込んだ大きな魚を追い出すという作品である。言葉に着目しながら、まぐろに襲われたときの臨場感、仲間を失った喪失感、海にいるすばらしいものを見たときの高揚感などを、スイミーになりきって実感させたい。
また、比喩や体言止め、倒置法など、独特で見事な表現技法にも着目して、スイミーの世界を豊かに味わわせたい。
本稿では、「探究型国語授業」として、「スイミー」の授業実践の前半、5時間分を紹介する。
一、二、三場面の読み取りで、初発の感想 → 作品の設定 → はじめの気持ち → 表現技法を捉えていく(後半は誌面の関係で次回以降に紹介する)。
「先生、今日の国語何やるの?」
この質問は、筆者が今一番反省する言葉である。 なぜなら、こう尋ねる子どもの裏側には、「学び」は「先生から教えてもらうもの」という意識が少なからずあるように思えるからである。
なぜ、国語の学びは受け身になってしまうのか。 筆者が考えるこれまでの国語授業の問題点は、教科書の中だけ、授業の中だけで、多くの国語の学びが閉じられてしまっていることにあると考える。
これまでも、学習のまとめで本のポップを作ったり、調べたことや興味のあることを図鑑にまとめたりするなどの活動は行われてきた。
しかし、何のためにその活動をしているのかが子どもにとっては不明確なことも多く、活動に対して受動的な子どもがいたり、なかなか活動に参加できない子どもがいたりすることも少なくなかった。
国語授業が教科書の中だけ、授業の中だけで、閉じられることなく、授業がきっかけとなって国語を学び続ける子どもたちを育てたい。
そこで、「探究型国語授業」を提案したい。
「探究型国語授業」を以下のように定義する。
そんな経験をしてこそ、真に生きて働く言葉の力が育まれるのではないかと考える。
