「人間は他の生物と何がちがうのか」 -オープンエンドの課題で、自分の考えをまとめる-
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執筆者: 藤平 剛士
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本教材では、ツチハンミョウと人間について、文章の構造においてではなく、意味内容において対比的に、違いがわかるよう記述されています。長い第3段落からもわかるように、ツチハンミョウは生存方法、人間は特性について特に記述され、「生き方」を一般化できるものとそうでないものの違いが、構成に明確に表れています。
今回は藤平剛士先生(相模女子大学小学部)に、本教材の前にある詩「生きる」と合わせて、「生きるって何だ?」といった答えのない問題を設定することで、6年生の子どもたちが今の自分と向き合ったり、探究的な見方・考え方を育んだりするような授業づくりの工夫をご提案いただきました。
6年間の国語の学習で取り組んできた活動を想起するねらいが込められた、最後の単元「卒業するみなさんへ」は、
①「中学校へつなげよう」 ▶︎ 身につけた言葉の力を確かめよう。
②「生きる」(谷川俊太郎作) ▶︎ 感じたことを友だちと話したり、朗読したりしよう。
③「人間は他の生物と何がちがうのか 福岡伸一」 ▶︎ 筆者の考えに対する自分の考えをまとめよう。
の3つが教材として設定されている。
実際には、卒業式に向けた時期での学習となると、読んで感想交流という時間しか確保しにくいかもしれない。しかし、2024年11月13日に亡くなられた谷川俊太郎氏の「生きる」(本教材の前頁に掲載、詩の教材)と、今回取り扱う、生物学者である福岡伸一氏の説明文を合わせて読むことで、6年生の子どもたちが今の自分と向き合ったり、探究的な見方・考え方を学んだりできる題材としての価値の大きさは見逃せない。
そこで、授業者は、クリエイティブかつダイナミックにデザインした、小学校最後の、子どもと創る国語の授業に臨みたい。
生物学者である福岡伸一氏の説明文「人間は他の生物とは何がちがうのか」には、以下の3つの比較によって、他の生物と比較した人間の特徴が強調して述べられている。
近年、様々なところで耳にする「探究」。このキーワードが学習指導要領に位置付けられたのは2008年、なんともう16年も前のことである。 大きな自然災害や世界中で猛威を振るった感染症など、想像もしていなかった様々な出来事が次々と起こり、変化の激しさを実感せざるを得ない現在では、「探究する国語授業」が自分の一番の研究テーマとなっている。 答えのない問題を解決しなければならない社会。このような社会で生きていく子どもたちは、「探究する学び」が必要であろう。授業後も学び続ける子ども、答えのない問題に向き合い粘り強く解決していこうとする子どもを育てていかなければならない。
本教材において、子どもたちが自分なりの意見をもち、話し合い、個性を認め合うことで、一人ひとりの多様さが生きる授業づくりを、髙橋達哉先生(東京学芸大学附属世田谷小学校)にご紹介いただきました。 本教材で身に付けたい力から指導内容を明確にした上で、「その子らしさ」を生かした授業を計画することで、拡散ではなく、それぞれの軸をもった子どもの「多様さ」が発揮されるようになるでしょう。
今回は小崎景綱先生(埼玉県・さいたま市立新開小学校)に、令和6年度に本教材が改訂されたことを踏まえ、「以前の文章に変更を加えることで、筆者はどのように、何を、読み手により伝えたかったのか」といった、説明文の工夫における意図や思いに迫ることで、「筆者を読む」力が身に付く授業づくりをご提案いただきました。
今回は藤平剛士先生(相模原女子小学校)に、本教材の前にある詩「生きる」と合わせて、「生きるとは何か?」といった答えのない問題を設定することで、6年生の子どもたちが今の自分と向き合ったり、探究的な見方・考え方を育めるような授業づくりの工夫をご提案いただきました。
新教材「銀色の裏地」は、新年度初めの高学年にとって身近な事柄がテーマとなっている物語文です。中心人物「理緒」の大まかな心情の変化は捉えやすいものの、細かい描写において、なぜそう思ったのか(行動したのか)明確には表現されていないため、叙述を基に、登場人物に感情移入して想像したくなります。 今回は山本純平先生(東京都・江東区立数矢小学校)に、「言ったこと」「行ったこと」「思ったこと」「繰り返し出てくる表現」の観点から細かく描写に着目し、本教材の学習後も、自力で物語文を読み進められるような力を育む授業づくりの工夫を、ご提案いただきました。
今月の「5分でわかるシリーズ」は、秋山千沙子先生(東京都・目黒区立上目黒小学校)に、子どもたちが主体的に書く学習に取り組めるための工夫をご提案していただきました。 書くことに苦手意識をもつ子どもにとってハードルが高い「新聞づくり」単元を、「オリジナル話型」を活用した話し合い活動を取り入れることで、相手意識、書く目的を自覚することにつながり、意欲的な取り組みにつながります。