様々な「対話」で授業をつくる -文学作品を読む-
|
執筆者: 弥延 浩史
|
国語科の授業で陥りがちなことがある。それは、積極的に対話している姿から、「対話によって子どもの思考が深まった」と短絡的に判断してしまうことである。
例えば、ここで研究授業後の協議会の場面を想像してみてほしい。
「積極的に子どもたちが対話していて素晴らしかった」というような意見が出たとしても、それが対話の質的な面と結び付いているかどうか疑問符がつくことはないだろうか。また、形式的に対話している姿はあったが、話している内容は果たして深まりのあるものだったか疑問符がつくこともある。
対話と聞くと、「目の前にいる自分とは別の誰かと話し合い、意味を共有し合うこと」というように捉えがちである。もちろん、これも対話であるが、それは狭義の意味であり、国語科における対話はもう少し広くとらえる必要がある。また、会話が「互いに話したり聞いたりしながら共通の話題を進めていく」ということに対し、対話には「相互理解のためのコミュニケーション」という意味合いが強いことも押さえておきたい。
国語科における対話について、「読むこと」の学習で考えると次のように整理することができる。
本教材において、子どもたちが自分なりの意見をもち、話し合い、個性を認め合うことで、一人ひとりの多様さが生きる授業づくりを、髙橋達哉先生(東京学芸大学附属世田谷小学校)にご紹介いただきました。 本教材で身に付けたい力から指導内容を明確にした上で、「その子らしさ」を生かした授業を計画することで、拡散ではなく、それぞれの軸をもった子どもの「多様さ」が発揮されるようになるでしょう。
今回は小崎景綱先生(埼玉県・さいたま市立新開小学校)に、令和6年度に本教材が改訂されたことを踏まえ、「以前の文章に変更を加えることで、筆者はどのように、何を、読み手により伝えたかったのか」といった、説明文の工夫における意図や思いに迫ることで、「筆者を読む」力が身に付く授業づくりをご提案いただきました。
今回は藤平剛士先生(相模原女子小学校)に、本教材の前にある詩「生きる」と合わせて、「生きるとは何か?」といった答えのない問題を設定することで、6年生の子どもたちが今の自分と向き合ったり、探究的な見方・考え方を育めるような授業づくりの工夫をご提案いただきました。
新教材「銀色の裏地」は、新年度初めの高学年にとって身近な事柄がテーマとなっている物語文です。中心人物「理緒」の大まかな心情の変化は捉えやすいものの、細かい描写において、なぜそう思ったのか(行動したのか)明確には表現されていないため、叙述を基に、登場人物に感情移入して想像したくなります。 今回は山本純平先生(東京都・江東区立数矢小学校)に、「言ったこと」「行ったこと」「思ったこと」「繰り返し出てくる表現」の観点から細かく描写に着目し、本教材の学習後も、自力で物語文を読み進められるような力を育む授業づくりの工夫を、ご提案いただきました。
今月の「5分でわかるシリーズ」は、秋山千沙子先生(東京都・目黒区立上目黒小学校)に、子どもたちが主体的に書く学習に取り組めるための工夫をご提案していただきました。 書くことに苦手意識をもつ子どもにとってハードルが高い「新聞づくり」単元を、「オリジナル話型」を活用した話し合い活動を取り入れることで、相手意識、書く目的を自覚することにつながり、意欲的な取り組みにつながります。
今回は笠原冬星先生(大阪府・寝屋川市立三井小学校)に、説明文の4つの基本構造をはじめに押さえ、平成27年度版と令和2・6年度版の本教材を読み比べることで、説明文の構造がどのように変化したのか、それぞれにどのようなよさがあるのか、について気づける授業づくりの工夫をご提案いただきました。