リフレクション型国語科授業の展開 -問いをどのように立てていくか、その授業展開-
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執筆者: 白坂 洋一
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目次
これまでの国語科授業は、「教師による発問・応答型の授業」と言われるように、教師が発問することによって、子どもは発問に対する正解や最適解を導き出していくものだったといえます。
常に、教師からの発問によって授業が進められていくわけですから、そこでの子どもたちの姿は、どこか受動的で、主体的な読みの力が十分に育っているとは言い難いところがあります。
子どもたち自らが問いを立てて、学びを進めることができたら、どれほど主体的な読みの力が育つことでしょう。子どもたち自らが問いを立てることができるということは、教材の要所に目を向けているということであり、その問いをきっかけに学びを深めていくことができるということだといえます。
しかし、気を付けなければならないのは、ただ疑問に思ったところや分からないところを問いとして立てたとしても、問いをつくったという事実だけしか残りません。すると、読んだことの実感も湧かないですし、その問いが本当によかったのかという判断もつきません。
読み合いでは、「友達と話し合いたい」といった、対話を通した他者との交流が必要となってくるでしょうし、問いの評価では、問いそのものが本当に自分たちにとってよかったのか、その問いで新しく分かったことはどんなことがあったかと振り返ることも必要となってくるでしょう。
そこで、子どもたちによる「問いづくり→読み合い→問いの評価」を位置付けて展開しているのが、「リフレクション型国語科授業」です。
今回は、物語を例に、どのように問いを立てていくのか、問いづくりに焦点を当てて授業展開を紹介したいと思います。
では、具体的にどのように問いづくりの授業を展開していったらよいのでしょうか。私は次のように1時間を展開しています。
近年、様々なところで耳にする「探究」。このキーワードが学習指導要領に位置付けられたのは2008年、なんともう16年も前のことである。 大きな自然災害や世界中で猛威を振るった感染症など、想像もしていなかった様々な出来事が次々と起こり、変化の激しさを実感せざるを得ない現在では、「探究する国語授業」が自分の一番の研究テーマとなっている。 答えのない問題を解決しなければならない社会。このような社会で生きていく子どもたちは、「探究する学び」が必要であろう。授業後も学び続ける子ども、答えのない問題に向き合い粘り強く解決していこうとする子どもを育てていかなければならない。
本教材において、子どもたちが自分なりの意見をもち、話し合い、個性を認め合うことで、一人ひとりの多様さが生きる授業づくりを、髙橋達哉先生(東京学芸大学附属世田谷小学校)にご紹介いただきました。 本教材で身に付けたい力から指導内容を明確にした上で、「その子らしさ」を生かした授業を計画することで、拡散ではなく、それぞれの軸をもった子どもの「多様さ」が発揮されるようになるでしょう。
今回は小崎景綱先生(埼玉県・さいたま市立新開小学校)に、令和6年度に本教材が改訂されたことを踏まえ、「以前の文章に変更を加えることで、筆者はどのように、何を、読み手により伝えたかったのか」といった、説明文の工夫における意図や思いに迫ることで、「筆者を読む」力が身に付く授業づくりをご提案いただきました。
今回は藤平剛士先生(相模原女子小学校)に、本教材の前にある詩「生きる」と合わせて、「生きるとは何か?」といった答えのない問題を設定することで、6年生の子どもたちが今の自分と向き合ったり、探究的な見方・考え方を育めるような授業づくりの工夫をご提案いただきました。
新教材「銀色の裏地」は、新年度初めの高学年にとって身近な事柄がテーマとなっている物語文です。中心人物「理緒」の大まかな心情の変化は捉えやすいものの、細かい描写において、なぜそう思ったのか(行動したのか)明確には表現されていないため、叙述を基に、登場人物に感情移入して想像したくなります。 今回は山本純平先生(東京都・江東区立数矢小学校)に、「言ったこと」「行ったこと」「思ったこと」「繰り返し出てくる表現」の観点から細かく描写に着目し、本教材の学習後も、自力で物語文を読み進められるような力を育む授業づくりの工夫を、ご提案いただきました。
今月の「5分でわかるシリーズ」は、秋山千沙子先生(東京都・目黒区立上目黒小学校)に、子どもたちが主体的に書く学習に取り組めるための工夫をご提案していただきました。 書くことに苦手意識をもつ子どもにとってハードルが高い「新聞づくり」単元を、「オリジナル話型」を活用した話し合い活動を取り入れることで、相手意識、書く目的を自覚することにつながり、意欲的な取り組みにつながります。