雨の日の教室がワクワクでいっぱいになる一冊
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お知らせ:
執筆者: 植木瑛理奈
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書名:あめふりのおおさわぎ
作・絵:デイビッド・シャノン
訳:小川仁央
出版社:評論社
出版年:2002年
ページ数:32
元気いっぱいの子どもたち。雨続きで外遊びもできずにいると、ストレスで小さなトラブルがおきがちになることはないでしょうか。
そんなときこそ、教室でゆっくり絵本の読み聞かせを楽しむことも豊かな時間です。
今回は、そんな雨の日の教室での読み聞かせにぴったりな一冊をご紹介いただきました。
目次
ある土曜日の朝、1粒の雨が降ってきたことから物語は始まります。
雨にびっくりしたニワトリが鳴き出すと、近くにいた猫が腹を立て、犬も怒り出します。
その声に驚いた赤ちゃんが泣き出し、今度は赤ちゃんのお父さんが怒鳴り声を上げます。
騒ぎを聞きつけてパトカーが駆けつけますが、今度はそのパトカーが道をふさいで道は大渋滞。
クラクションが鳴り響き、街じゅうが大混乱になります。
ついにはトラックから大量の野菜や果物が転がり出し、道路を埋め尽くしてしまいます。
動物も人も巻き込んだ大騒ぎがピークを迎えたそのとき、ふっと雨があがり、空に虹がかかります。
あたたかな日差しを浴びるとみんなの興奮も冷め、お互いに笑い合いながら散らかった街を片付け始めます。
1粒の雨から始まった大騒ぎは、雨あがりとともに静かに幕を閉じます。
この本を子どもたちに読もうと思い立ったのは、雨が続いていた梅雨の季節でした。
外で思い切り遊ぶことができず、どこか残念そうな子どもたちを見て、
「雨の日だからこそ楽しい時間を教室に届けたい」と思ったのがきっかけです。
このお話の魅力は、たった1粒の雨から始まる連鎖的な大騒ぎにあります。
ページをめくるたび、騒ぎが大きくなっていく展開に、「次は!?」「このあとはどうなるの?」と、子どもたちのワクワクは止まりません。
目がキラキラと輝き、教室中が期待感でいっぱいになっていくのが伝わってきます。
そしてこの本には、2回目に読むときにも味わえる楽しさがあります。
ストーリーを知ったうえでページを開くと、子どもたちの視線は絵の細部へと広がっていきます。
「あ! さっき出てきた犬だ!」
「床屋さんが、ここにも登場してる!」
絵のあちこちに隠された小さな発見を見つけては、声を上げてくれます。
1度読んだからこそ見えてくる景色があり、友達の「見つけた!」を聞くことで、自分では見えていなかった部分にも目が向いていきます。
絵の細部まで注目し、自分なりの発見を楽しみながら、絵本の世界を広げていく。そんな子どもたちの姿が見られるのも、この絵本の大きな魅力です。 そして、大混乱が止むきっかけは、雨があがったことでした。雨の日の大パニックの面白さと、雨があがったときの晴れやかさ。その鮮やかなコントラストが、雨の日のどんよりした気持ちを吹き飛ばしてくれます。
読み聞かせの効果を高めるためには、まず教室の雰囲気づくりが欠かせません。
私の学級では図書室から借りてきた本、学級文庫、読み聞かせ用の本など、常に多くの本を子どもの手の届く場所に並べています。
個人の本は毎週、学級文庫は2週間に1回ほど入れ替え、ちょっとした隙間時間にも自由に本に触れられる環境を整えています。
「今週の読み聞かせ」というミニ看板の下にその週に読む予定の本を置いておくと、子どもは「今日はどの本かな?」と目を輝かせてくれます。
生活の中でごく自然に本と出会えるサイクルを大切にしています。
私が読み聞かせで最も大切にしているのは、絵を子どもたちにしっかりと見せることです。
絵本の持つ最大のおもしろさは、ページいっぱいに広がる絵の世界の中に詰まっているからです。
子どもたちは絵を見つめながら、「あ! ○○がいる!」と、自然に物語の世界へと飛び込んでいきます。
読み手である私は声色を作り込みすぎずに淡々と読むことを心がけています。
読み手が感情を過剰に込めないことで、子どもたち自身の感性で自由にくすっと笑ったり、想像をどこまでも広げたりすることができると考えているためです。
高学年の子どもたちに対しても、同じように読み聞かせを行います。
基本的なスタイルは変わりませんが、選書と見せ方に工夫を加えています。
高学年では、少し長めの絵本や、絵のない児童書を取り上げることもあります。
1番のコツは、「あえて最後まで読まないこと」です。
あらすじを伝え、物語が盛り上がりかけたところで「続きは自分で」と、子どもたちに手渡します。
「このあとどうなっちゃうの!?」という焦れったさが、子どもが自発的に本を手に取るきっかけになります。
読み聞かせは、教師が一方的に読んで聞かせるだけの時間ではありません。
子どもが「もっと読みたい」と思い、自分から本に手を伸ばす、その1歩目を生み出すための時間であると考えます。
教室で1冊の絵本をひらく。子どもたちはそれぞれの目で絵を見つめ、それぞれの言葉で発見を語り始めます。
1人の「見つけた!」が友達の「見つけた!」に、教室全体に絵本の世界が広がっていきます。
そんな子どもたちとの豊かな出会いを楽しみながら、これからも教室で、1つ1つ丁寧に絵本の扉を開けていきたいと思います。
・デイビッド・シャノン 作/小川仁央 訳『だめよ、デイビッド!』評論社、2001年
植木瑛理奈(うえき・えりな)
新潟県・上越市立大手町小学校 教諭
