「模型のまち」 -色の変化に着目し、中心人物の変容を読む-
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お知らせ:
執筆者: 小島 美和
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本教材において、小島美和先生(東京都・杉並区立桃井第五小学校)に、表現の工夫とその効果について交流し、題名や作品に込められた意味まで読み深めることを目指した実践について、ご提案いただきました。
「模型のまち」を一文で表す活動から、亮が何をきっかけに、どのように変容したのかという問いを生み出します。 そして、額縁構造や時の移り変わりを確かめながら、「模型のまち」と「ビー玉」に繰り返し描かれる「白」と「色」の対比に着目することで、 色彩表現と登場人物の心情を関連づけて読むたしかな力を育んでいきます。
この物語の中心人物は、母の転勤で「ひろしま」のことを何も知らずに転校してきた6年生の男の子「亮」である。
原爆投下前の「まち」について、まるで白い模型を見ているかのように現実味を感じることができなかった亮が、隣の席の真由や、真由の兄の圭太との「模型のまち」づくりをきっかけに、夢の中で「模型のまち」に入りこむ。そこで、かっちゃんたちとビー玉で遊ぶことによって、色のついた現実のまちとして「ひろしま」を感じ、身近に捉えられるようになるという話である。
物語は、三人称限定視点で亮に寄り添って語られている。中心人物である亮は、子どもたちと同じ現代の小学6年生であり、亮と自分を重ねて自分だったらと考えやすい教材である。
物語の前半には、ひろしまのまちについて、「風通しがよくて、確かにきれい。でも、何だかつまんない。それが、亮の受けた第一印象だった」「原爆ドームぐらいは、さすがに亮でも知っていたが、それも自分には関係のない、こわれかけた昔の建物にすぎなかった」という叙述があるように、原子爆弾が投下される前、そこがどのような場所だったのかを全く知らなかった。
しかし、真由や圭太と「模型のまち」づくりをし、夢の中で「模型のまち」に入り込み、かっちゃんたちとビー玉で遊ぶことによって、「あの玉で遊んだかっちゃんたちは、確かにここにいた。このまちの子どもだった。いたけど、いなくなった」ということを認識する。そうした経験から、亮が原爆投下時にそこに暮らしていた子どもたちと自分との結びつきを感じるように、はっきりと変容しているのがわかる作品である。
