5分でわかる エージェンシーを発揮する話し合い活動「シェアトーク」について
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執筆者: 大塚健富
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話し合い活動を行っても、参加できない子どもがいたり、考えが深まらなかったりするなどの課題を感じたことはありませんか。
7月号の「5分でわかるシリーズ」は、大塚健富先生(千葉県・柏市立柏第四小学校)に、少人数で安心して話し合う「シェアトーク」を取り入れ、全員が問いや考えを共有し、その後の自由交流へとつなげる実践をご提案いただきました。
現在求められている子どもの姿として、自ら学ぶ自律した学習者の育成を多くの学校が実践している。生涯を通して自ら学び続け、予測不可能な時代(VUCAの時代)を生き抜くためには、日々の授業内で子ども一人ひとりに「学び方」の獲得が求められている。いわゆるエージェンシーの発揮である(学習者による学びの舵とり)。
ICTや学校図書を使って調べたり、具体物を操作してイメージ化したり、言語活動を通して教材を読み込んだりと様々な学び方があるが、中でも欠かせない学び方は、クラスの子どもたち同士での対話による学びである。主体的・対話的で深い学びの実現が言われてから、かなりの年月が経つが、未だに実現に向けて課題が多いように感じる。
など、上記のような課題は話し合い活動を行ったことのある多くの教員が直面する課題だと感じる。課題がなかなか改善されないと、話し合い活動から離れてしまうこともあると思うが、子どもたちにとって、友だちからの意見や考えは自分自身の考えを深めたり新しい視点を与えてくれ、自分の考えに厚みをもたらしてくれたりするものである。
話し手にとっても考えを話すことで、自分の意見がまとまり自分の考えを確立できる。話し合いを行うグループ全員が相互に話し合うことで、学びを深めることができるはずである。
子どもたちが、生涯を通して学び続けることにつながる話し合い活動は、その教科や問題によってクラスの誰から学ぶとよいか自分で判断し、目的をもってその友だちと話し合う活動だと考える。自分で学びの舵を取り、主体的に人と関わり人から学ぶことで、エージェンシーは発揮される。クラスの友だちは各教科得意な教科はバラバラであり、その得意な教科によっても問題によって考える視点は異なるため、話し合いによって違う視点を取り入れることにより、知識と知識が結合・構造化し深い学びへとつなげることができる。
教員が、各教科の授業について、学校行事について、校務分掌についてなど、学びたいことに応じて聞く人を選ぶように、子どもたちにも目的をもって話し合う相手を見つける学び方を獲得させたい。
そのためには、「クラスの○○さんからおもしろい考えを知ることができる」「○○さんは家族でいろんな所に出かけているから豊富な経験に基づいた考えを聞きたい」など、クラスのそれぞれの友だちから、どのような学びを得ることができるのか知ることが必要である。
そこで、友だち同士の横のつながりを築き、授業内で話し合うという学び方を身に付けることができる「シェアトーク」という実践を紹介する。
「シェアトーク」は黒板の前にクラスの中の数人が集まり、教員が話し合いの司会を行い、集まった子どもたちは床に座りながら話し合う活動である。
1グループ7~8人で4~5グループに分かれ、それぞれのグループを黒板の前に順に集め、座りながら話し合い意見や考えを共有する(シェア)。
そして、黒板の前で話し合った後は、自由に歩きながら話し合う時間を設ける活動である。
以下実践の詳細について記述する。
「シェアトーク」では机を使わないため、子どもたち同士頭を近づけて話し合ったり、床に座りリラックスして話し合ったりすることができるため、声が小さい子でも緊張しがちな子でもグループ内で話し合うことができる。
また、勉強が苦手な子は教員からの発問を理解していなかったり、そもそも授業についていけてなかったりすることがあると感じる。普段の子ども同士の話し合いでは、今考える事がわからないとき、「今何について考えているのか」恥ずかしくて聞けないことがあると思うが、「シェアトーク」なら、担任が一人一人の問題に対する理解度を把握することができ、子ども同士で教え合うように促し、クラス全員が共通した問いを共有し授業に参加することができる(全員に問いがシェア)。
授業で最も考えを深められるのは、全体共有の時間であると考える。教員の発問や問い返しによって、子ども同士の発言がつながり考えは深まっていく。しかし、全体共有のときに発言する子どもの数は限られてしまうのが課題であったが、「シェアトーク」は少人数で話し合うため、グループ全員が発言することが可能である。
1グループ3分で行っても、5グループなら15分で「シェアトーク」を行うことができ、その後の全体共有も十分に時間を確保することができる。「シェアトーク」で考えが深まるきっかけを、友達との話し合いや教師からの問い返しでつくり、その後の全体共有で友だちの考えを理解し、正解のない問いに対しても納得解を出すことができる。
また、「シェアトーク」を行うときのグループは授業の度に設定している。授業の前や授業の前半に各キャラクターが書かれたカードを4~5種類、人数分用意し、その引いたキャラクターをグループ名として「シェアトーク」を行う。
このようにグループを分けることで子どもたちは、誰が自分と同じキャラクターのカードを引いたのか気になりながら、必然的にランダムにグループを構成することができる。
「シェアトーク」が終わったグループや「シェアトーク」を待っているグループは、席を立ち歩きフリー交流するのだが、このフリー交流が普段仲のいい人とだけで行われることなく、目的をもって普段は交流が少ない友だちと話し合うことを目指す。
各グループ「シェアトーク」が終わったとき、教師はそのグループが話し合ったことを端的にまとめたり、「このグループは○○について話合ったんだけど、なんでかな?」と疑問に感じるように話し合った内容をクラス全員に伝えたりすることで、子どもたちは、「○○さんと話せば新しいことがわかる」「なんで○○さんはこんなことを考えたのかな」といった目的をもって話し合いをすることができる。
このように「シェアトーク」を各教科の授業で継続的に行っていけば、クラス全員が相互に対話することが可能であり、クラスの友達から「こんなことを学べるのか」と実感することで学び方は獲得され、エージェンシーは育まれていくと考える。
【参考文献】
大塚健富(おおつか・たけと)
千葉県・柏市立柏第四小学校
日本授業UD学会
