「自分だけ」を知ることで自分を大好きになれる一冊
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執筆者: 村田遼
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書名:ぼくだけのこと
作者:森 絵都
絵:スギヤマ カナヨ
出版社・出版年:理論社(2004年) 偕成社(2013年)
ページ数:36
自分のこと、をどれくらい知っているでしょうか。みんなと違う「自分だけのこと」を知ることは、時には少し怖いことのように思えることもあります。
そんなとき本書を読んで、「ほかの誰でもない自分」という存在のかけがえのなさに気付いてみるのはいかがでしょうか。今回は、そんな自分を大好きになれる一冊をご紹介いただきました。
目次
この本は、主人公の「ぼく」が自分だけにある特徴や、自分だけができることについて考えるお話です。
ぼくは、他の人よりも得意なことや苦手なことなど、自分だけのことがたくさんあることに気付きます。
また、過去の失敗や困ったことも自分だけの特別なことと考えるようになります。
そしてぼくは、日本だけでなく、世界を見渡しても自分と全く同じ人がいないことを知ります。
ぼくは、自分だけのことを見つけていくことで、一人一人がかけがえのない存在であり、それぞれに違った個性やよさがあることを感じます。
このお話を読むと、「いますぐ自分だけの特別を探したい!」と思わせてくれる一冊です。
みなさんは、「自分だけのこと」がどのくらい思い浮かぶでしょうか。
きっと、子どものころには、「自分だけの特別なこと」を見つけて、うれしくなった経験があってのではないでしょうか。
しかし、学校や社会で生活するなかで、「自分だけのこと」を大切にするよりも、「みんなと同じ」であることがよいことだと思ってしまうようになってしまってはいないでしょうか。
この本の最大の魅力は、「人と違うこと」がとても特別で、すばらしいことだと教えてくれるところです。
主人公の「ようた」は、さまざまな人と自分を比べながら、よいことも苦手なことも含めて「自分だけのこと」を見つけていきます。
家族という身近な人との比較から始まった「自分だけ」探しが、最後には世界中の人々へと広がっていくところもおもしろいポイントです。
皆さんもきっと読み進めるうちに、「自分にはどんな『自分だけのこと』があるだろう」と考えたくなるはずです!
小学校低学年であれば、「自分だけのこと」探しに夢中になるでしょう。
「自分だけの特別」をたくさん見つけようと、一生懸命に考える子どもたちの姿が思い浮かびます。
見つけた「自分だけのこと」を友達と伝え合い、認め合う発表活動を行うことで、他者と関わることのよさや楽しさを感じることができます。
また、自分のよさや個性に気付き、それを認めてもらう喜びを味わうことにもつながるでしょう。
小学校中学年では、「自分だけのこと」を友達から見つけてもらう活動も面白いのではないでしょうか。
自分だけでなく、一緒に生活する仲間に目を向けることで、自分では気付かなかったよさや個性を発見することができます。
また、友達のよさを見つけて伝え合う活動を通して、一人一人の違いを認め合うことの大切さを学ぶこともできるでしょう。
自分と友達の両方の個性に目を向けることで、学級の仲間とのつながりをより深めることが期待できます。
小学校高学年では、学習内容が難しくなったり、周囲と自分を比較する機会が増えたりすることで、自己肯定感が揺らぐことがあります。
そんな時期だからこそ、「自分のよさ」とは何かをじっくり考えることに大きな意味があります。
この本を通して「自分だけのこと」を見つめ直すことで、自分のよさや個性に気付き、自信を取り戻すきっかけになることでしょう。
また、自分では当たり前だと思っていたことが実は自分らしさであったと気付き、新たな自分を発見する機会にもなるはずです。
このように、どの学年でも発達段階に応じた学びや感じ方の違いを話し合うことができる素敵な作品です。
ぜひ明日から誰かと一緒に「自分だけ」探しをしてみませんか?
この本では、「うれしい」「こまった」など、主人公である「ようた」の気持ちがストレートに表現されています。
そのため、読み聞かせでは、「ようた」の気持ちが伝わるように声の大きさや速さを工夫したり、表情や動きを付けたりしながら読むことが大切です。
読み手が気持ちを込めて読むことで、子どもたちはようたの思いに共感しながら物語の世界に引き込まれていくでしょう。
また、「みんなも経験したことある?」と子どもたちに問いかけることで、自分と主人公のようたを比較しながら話を聞くことができます。
「ぼくもあるよ!」「それはないなぁ」といったつぶやきを引き出すことができれば、物語をより身近に感じることができるでしょう。
さらに、自分自身の経験や特徴を振り返るきっかけとなり、「自分だけのこと」探しにもつながっていくはずです。
そして、読み聞かせをする方もぜひ「自分だけのこと」を思い浮かべながら読んでみてください。
子どもたちだけでなく、大人もわくわくしながら物語を楽しむことで、そのわくわくが自然と子どもたちにも伝わります。読み手と聞き手が一緒になって、「自分だけのこと」を見つける楽しさを味わえる、そんなわくわくでいっぱいの温かい時間にしましょう!
村田遼(むらた・りょう)
山形県東根市立東根中部小学校 教諭
