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    「誰もが安心して過ごせる教室に」困りを抱えるお友達に気付き、自分ができることを考える一冊

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    「誰もが安心して過ごせる教室に」困りを抱えるお友達に気付き、自分ができることを考える一冊

    「誰もが安心して過ごせる教室に」困りを抱えるお友達に気付き、自分ができることを考える一冊

    執筆者: 宮本実奈

    |

    2026年6月25日

    書名:学校コワイ
    作:よつばもこ
    絵:かしだあゆみ
    出版社:ASDヴィレッジ出版
    出版年:2012年
    ページ数:29

    今回は、学校の中で暗黙のルールであったり当たり前とされていることが分からず、戸惑ったり、不安を抱えていたりする子どもたちにまなざしを向けた絵本を紹介いただきました。
    「わからないから教えて」そんなことがいつでも誰でも言えて、安心して過ごせる教室づくりに役立つ一冊です。

    目次

    あらすじ オススメのポイント 1)「子どもの体験と言葉からうまれた点」 2)困難さを抱える子どもの存在に気付き、関わり方を考える力を育てる点 3)安心して過ごせる学級づくりへとつながる点 読み聞かせのコツ 併せて読みたい本

    あらすじ

    学校には、みんなが当たり前のように分かっていることが多くあります。
    授業と休み時間が交互にあること。
    チャイムの合図で行動すること。
    「教科書を出して」と言われたら、どの本を開けばよいのか。
    みんなは迷わず行動しているのに、わたしには何が起きているのか分かりません。
    「わからない」「できない」「こわい」
    周りの子が自然にできていることが、自分にはできない。
    分からないことを聞く方法が分からない。
    そんな主人公が学校生活で感じる「わからない」「できない」「こわい」という戸惑いや不安が描かれています。
    「みんなと同じようにできない」と感じたことのある子どもたちへ。そして、一人ひとりの学びや安心を支えたいと願う大人たちへ。
    見えにくい困難さへの理解と配慮、関わり方について考えるきっかけを与えてくれる一冊です。

    オススメのポイント

    1)子どもの体験と言葉からうまれた点

    『学校コワイ』は、LDとASDの子どもたちが、実際の学校生活で感じてきた戸惑いや不安をもとにして描かれた絵本です。
    発達障がいの子どもが感じる「やりたいのにできない」「聞き方がわからない」「学校がコワイ」という不安や緊張が、学校生活の中でよくある場面を通して切実に表現されています。
    教師や支援者向けの解説ではなく、“本人の内側の感覚”として描かれているため、これまで見えにくかった困りに直接触れることができ、理解を深めるきっかけになります。

    2)困難さを抱える子どもの存在に気付き、関わり方を考える力を育てる点

    学校生活における様々な場面で戸惑いや不安を感じてきた子の心の声が、細かく描写されています。
    例えば、体育の授業での整列場面。並び方の基準が分からず戸惑ってしまう子どもはいませんか。
    同じ教室で生活を送っていても、その困りは周囲からは気付かれにくく、「なぜ動けないのか」が理解されないまま見過ごされてしまうこともあります。
    本書での描写を通して、「見えていないけれど、同じように困っている子が近くにいるかもしれない」と、子どもたちは自分の身近に目を向けることを意識するようになるでしょう。
    そして、「もし、その場に自分がいたら、どんな声をかけるだろうか」「どうすれば安心して一緒に活動できるだろうか」と、相手の立場に立った関わり方を学ぶことにもつながるでしょう。

    3)安心して過ごせる学級づくりへとつながる点

    不安や戸惑いを抱えた子どもが、その困り感を解消するための具体的な方法を周囲と共に考えることを通して、少しずつ「できるようになる」経験を重ねていきます。
    「分かる」「できる」が少しずつ増えていくことで、気持ちが軽くなり、学校が少しずつ安心できる場所へと変わっていく様子も描かれています。
    そして、物語の終わりには、その小さな変化が確かな希望へとつながっているのです。
    一人ひとりの困り感に気づき、理解し、支援する方法を考えることは、誰もが安心して過ごせる学級を考えることにもつながっていきます。
    本書に描かれている場面を、自分たちの学級に置き換えて考えることで、一人ひとりの困難さへの気付きを出発点に「誰もが安心して過ごせる学級とは」を意識した言動や行動へとつなげていくこともできるでしょう。

    読み聞かせのコツ

    まずは題名を隠して表紙を提示し、子どもたちの気付きを引き出す時間を大切にします。
    「分かること、気付くこと、疑問に思うことは?」と問いかけ、登場人物の表情や周囲の様子に注目しながら自由に考えを交流することで、内容への興味や想像を広げていきます。
    その後、絵本を読み進めながら、主人公が学校生活の中で「当たり前」とされていることに戸惑いや不安を感じている気持ちに寄り添いながら、ゆっくりとページをめくっていきます。
    例えば掃除の場面では、「さぼるなよ」「ちゃんとやれよ」といった言葉が飛び交う中で、「ちゃんと」という言葉の意味が分からず、どう動けばよいのか分からないまま立ち尽くす主人公の姿に注目させます。
    ほうきやちりとり、机運びなど、それぞれ異なる役割で周囲が動いているため、「だれの真似をすればよいのか分からない」という戸惑いがうまれていることに気付かせることが大切です。
    その場面で「みんななら、どんな声をかける?」と問うことで、子どもたちは主人公の立場に立って、支援や関わり方を自分事として考えられます。
    このようなやりとりを、場面ごとに重ねながら読み進めることで、物語の理解を深めるだけでなく、他者の困難さに気付き、適切に関わろうとする態度の育成へとつなげることができるでしょう。

    併せて読みたい本

    • ・中山千夏『どんなかんじかなあ』自由国民社、2005年
    • ・マリ=エレーヌ・ドルバル おかだよしえ(訳)『わたしのおとうと、へん…かなあ』評論社、2001年

    宮本実奈(みやもと・みな)

    大阪市立東田辺小学校教諭

    教育サークルREDS大阪/日本授業UD学会

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