「まいごのかぎ」を私はこう授業する!!
|
執筆者: 藤田 伸一
|
単元名:ファンタジーの世界を楽しもう!!
教材:「まいごのかぎ」(光村・3年)
今回、藤田伸一先生(神奈川県・川崎市立中原小学校)にご紹介いただく授業実践は、ファンタジー作品の「現実―非現実―現実」という構造や主人公の変容を読み取るための「方略」を学び、ファンタジーを主体的に深く楽しむ力を育てることを目指しています。
子どもたちが「なぜだろう」と考えたくなる刺激を与え、作品に主体的に向かう姿勢を育む手立てが数多く取り上げられています。
目次
ファンタジー作品のおもしろさは、何と言っても現実世界では到底起こりえない出来事と出会えることであろう。
「まいごのかぎ」では、大きく3つの不思議な現象が中心人物の「りいこ」の周辺で起こる。
第一に、「かぎ」の出現と消失である
かぎが茂みから突然輝きをもって現れる。
そして、最後にいつの間にか消えてなくなっている。
物が、いきなり出てきたり消えたりすることは、通常では考えられない。このかぎが、まさにこの作品のキーとなる。
第二に、「かぎ」を差しこむたびにあり得ない出来事が起こる
かぎ穴にかぎを差しこむと不思議な出来事が動き出す。4度もかぎを入れては、不可思議な現象が引き起こされる。読み手は、次はどんなことが起こるのだろうと興味津々になる。
1度目は、さくらの木が、実を落とす。
2度目は、公園のベンチが動き出す。
3度目は、あじの干物が宙を舞う。
4度目は、バスが合奏したり踊ったりする。
何気ない普段見慣れている風景が一変する。読み手も、いつのまにか、またかぎ穴が出てこないかなと期待してしまう。
第三に、消したはずのうさぎが現れる
一度は、校舎だけでは寂しいと思い「うさぎ」の絵を描いたりいこ。でも、友達に笑われすぐに絵の具で消した。そのうさぎが、最後の場面でバスの中に現れる。それも絵ではなく動きを伴った動物として再登場する。その後にバスとともに去って行く。これも、かぎあなに起因するものであるが、りいこの変容に大きく関わる出来事でもある。
ファンタジー作品の構造は、「現実―非現実―現実」になっている場合が多い。現実の世界からいつのまにか不思議な非現実の世界に入り、また現実の世界に戻ってくるという展開である。
「まいごのかぎ」においても、どこから不思議な世界に入り、どこでまた現実世界に戻ったのかを探すのは大変興味深い活動となる。
では、非現実世界の「入口」はどこか? 普通の生活では、あり得ない現象が起こった瞬間を見つける。それは、「かぎ」が登場した場面である。「かぎ」そのものが不思議な世界を象徴している。
当然「出口」は、「かぎ」が消えたところになる。出現と消失の仕方が、不思議そのものである。これを見いだすおもしろさは、まさに謎解きに近い。
