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    5分でわかる 子どもと創る「学びのあしあと」のスキル

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     5分でわかる 子どもと創る「学びのあしあと」のスキル

    5分でわかる 子どもと創る「学びのあしあと」のスキル

    執筆者: 溝上 剛道

    |

    2026年5月28日

    5月号の「5分でわかるシリーズ」は、溝上剛道先生(熊本県・熊本市立黒髪小学校)に、使って終わりになりがちな学習掲示物を、「学びのあしあと」といった、カード化・模造紙・アナログ×デジタルの3タイプで捉え直し、学習内容や目的に応じた活用例をご提案いただきました。
    大単元・小単元・振り返り活動という3つのプロセスを通して、子どもが主体的に学びを更新し続けられるような、学習掲示の活用がわかります。

    目次

    1. “景色化”してしまう学習掲示 2. 「学びのあしあと」とは 2—1. 「まとめ」ではなく「あしあと」 2—2. メタ認知を促す“立ち止まり”発問 3. 「学びのあしあと」の3タイプ×3プロセス 3—1. 3つのタイプ 3—2. 3つのプロセス

    1. “景色化”してしまう学習掲示

    授業のポイントをまとめた模造紙。
    放課後あんなに苦労して作ったのに、いつの間にか見向きもされなくなって……。

    あるいは、教室前方に貼られた「話し方・聞き方」スキル。 作成時は校内で共通理解を図ったはずなのに、1年もすると風化し始めて……。

    これはどこかで起こった他人事ではなく、私の教室で何度も繰り返されてきた課題だった。

    なぜ私の学習掲示は、いつの間にか“景色化”してしまうのだろう。 あの先輩のクラスでは、授業であんなに子どもたちが掲示を活かして話し合っているのに。

    ここでは、そんな悩みを乗り越えるきっかけになった「あの先輩」の言葉を振り返りながら、自分がどんなマインドで、どんなアイデアにトライしているかを紹介したい。

    資料1 教室に掲示した『学びのあしあと』(※「名前」の部分は個人名)

    2. 「学びのあしあと」とは

    2—1. 「まとめ」ではなく「あしあと」

    先輩の学習掲示をじっくり見てみた。
    自分との違いは何だろう。

    まず目についたのは、子どもの名前だ。
    学習のポイントには必ずと言っていいほど、子どもの名前が添えられている。
    その先輩いわく、 「溝上くんのは『教師のまとめ』。主語が教師なんだよね。でも、学びの主語は子ども。だからその子が働かせた見方・考え方を、名前と一緒に『学びのあしあと』として残すようにしている」

    ハッとした。
    子どもの名前を書いておくのは、今までも聞いたことがあった。
    「◯◯さんのワザ」のように固有名詞が入ると、活用しやすい。
    でもその先輩は名前だけじゃなく、「課題解決の過程で働かせた見方・考え方」を一緒に書くことにこだわっていた。
    改めて見ると、先輩の掲示には「どんな問いを」「誰が」「どんな見方・考え方を働かせて」解決したかが残されている。

    そうした“学びの文脈”をありありと描いているからこそ、次の授業で「あのとき、◯◯さんが言っていたように……」のような発言がでてくるのだろう。 さらに「でもこの場合……」のように、それまでのワザでは解決できない場面との出会いから「見方・考え方」が更新されていく。

    そんな子どもたちの姿を目の当たりにし、私は『教師のまとめ』ではなく、子ども主語の『学びのあしあと』を目指すようになった。

    • 『学びのあしあと』とは
    • ・教師のまとめではなく「子ども主語」
    • ・「働かせた見方・考え方」と「その子の名前」を書き残す
    • ・日々の問題解決で活用し、アップデートし続けていくもの

    2—2. メタ認知を促す“立ち止まり”発問

    「学びのあしあと」を創っていく上で大切にしたいのは、課題解決の中でどんな見方・考え方を働かせたか、子ども自身が立ち止まり、学びを言語化する場である。 しかし「振り返りましょう」と投げかけたからといって、メタ認知が働き出すわけではない。 ではどんな働きかけがそのきっかけとなりうるのか。
    例えばその手立ての1つに、次のような“立ち止まり発問”がある。


    タイミング

    発問例

    導入

    前時の子どもの考えや記述等を取り上げるとき

    「◯◯くんのすごいところ、わかる?」

    「どんなワザが使えそうかな?」

    展開

    対話を通して「ああ」「なるほど」等の共感・納得が生まれたとき

    「なんで、『ああ』って思ったの?」

    「今、どんなワザを使っていたかな?」

    今までのワザで解決できなかったり、考えにずれが生じたりしたとき

    「だったら、〜とは限らないのかな?」

    「どうすれば解決できそう?」

    終末

    本時の学習を振り返るとき

    「どんなワザを使ったかな?」

    「どうやってこの考えに辿りついた?」

    初めは子ども自身で言語化することが難しいことも予想される。そのような場合、次の手立ても必要に応じて講じるとよいだろう。

    • ①教師自身が「AとBを比べて考えているね」「自分の体験と結び付けて考えたんだね」のように、意図的に価値づけていく
    • ②「◯◯名人」「◯◯さんの……ワザ」のように、その教室での共通言語をつくっていく

    3. 「学びのあしあと」の3タイプ×3プロセス

    3—1. 3つのタイプ

    ①カード化タイプ


    カード1枚に1つのワザを書き残していくもの。

    資料2  領域別に色分けしたカード(2年の例、左:書く・中:話す聞く・右:読む)

    メリット

    ◯ 作成したカードを、授業展開に応じて板書で活用しやすい

    ◯ 例のように領域等によって色分けすると、視覚的支援になる
    ◯ カード化に慣れてくると、白紙のカード自体がメタ認知の手立てになり、自然と「このワザは何名人かな?」のような思考が促されるようになる

    デメリット

    ⚫️紙幅が少ないため、課題解決のプロセスを残すには限りがある



    ②模造紙書き足しタイプ

    模造紙を教室に掲示しておき、ワザを見つけるたびに書き足していく。

    資料3  5年文学の例(①〜⑥は「たずねびと」、⑦〜は「大造じいさんとガン」)

    メリット

    ◯カードと比べて紙幅がたっぷりあり、根拠や理由づけなど、課題解決のプロセスをぎっしり残せる

    ◯「あしあと」が時系列で整理され、単元の流れと連動して記憶に残りやすい

    デメリット

    ⚫️カードのように「順番の入れ替え」ができないため、ワザの分類・整理には不向き



    ③アナログ×デジタルタイプ


    「あしあと」として共有する見方・考え方の通し番号をアナログとデジタルで統一し、両者が連動したものになるようにする。

    アナログ(模造紙)は端的にまとめた言葉と名前を書いておく。(=目次的な役割)
    デジタルでは、板書や個々のノート(=具体)を共有する。

    資料4 6年文学「やまなし」における“目次的役割”の模造紙
    資料5  “目次的役割”の模造紙と番号をそろえた「デジタルあしあと」

    メリット

    ◯ロイロノートなどのデジタル活用により紙幅は無限

    ◯データが多くなる分、模造紙に“目次的役割”をもたせ、アナログとデジタルを連動させることで、両者のよさを生かせる


    3—2. 3つのプロセス

    ① 大単元での取り上げ指導 →「あしあと」化


    単元の学習の中で、課題解決を通して働かせた見方・考え方を教師が価値づけたり、子ども自身が振り返ったりして、言語化していく。
    2-2.で示した発問は、このプロセスで最も効果を発揮する。
    (「3」で例示した画像は、大単元での取り上げ指導で作成したもの)


    ② 小単元での取り立て指導 → 「あしあと」化


    冒頭述べた「話し方・聞き方スキル」については、トップダウン式ではなく、小単元などを活用し、活動を通してボトムアップ式で『あしあと』を創っていくと、その後の大単元で生かしやすくなる。
    特に、学期始めや大単元と連動して位置づけると効果的である。

    資料6 小単元「たずね合って考えよう(東京書籍・6年)」で創った「学びのあしあと」
    資料7 「ごんぎつね」単元中、「考えを深めるために」をテーマに話し合った『学びのあしあと』

    ③ アイコンカードを活用した単元の振り返り → 「あしあと」化


    単元の振り返りで、アイコンカードを活用した「あしあと」化のプロセスもある。
    例えば、ノートや成果物等を見返した上で「どうやって考えを広げたり深めたりしてきた?」と発問し、話し合いながら単元の学びを振り返る場を設定する。
    その際、子どもたちに黒板を開放し、自分たちで「○○の力」を書き出せるようにすると、より意欲的に取り組むことができるだろう。

    資料7 アイコンカードを活用した板書(上:個人、中:少人数、下:全体)
    資料8 上記の板書を「あしあと」化したもの

    先輩に学んだ「学びのあしあと」は、現在この3タイプ×3プロセスで試行錯誤中である。これからもトライを続け、子どもと共によりよい学びを創っていきたい。


    溝上剛道(みぞがみ・たかみち)

    熊本県・熊本市立黒髪小学校

    日本国語教育学会会員/九州小学校国語教育研究協議会 研究委員長/熊本県小学校教育研究会国語部会 企画・広報部長

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