「一つの花」 ―くらべて読み、変わること・変わらないことを見つけよう―
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執筆者: 橋爪 秀幸
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「一つの花」は、戦時中と戦後十年後の場面を対比して読むことで、登場人物の思いや物語の主題を考えることができる教材です。
今回は橋爪秀幸先生(大阪府・豊中市立熊野田小学校)に、場面を比べたり題名の意味を考えたりする活動を通して、父のゆみ子への深い愛情や平和の尊さを捉える授業づくりについてご提案いただきました。こうした読み方を身に付けることで、次につながる文学作品を深く読む力を育むことができます。
本作品は、戦時中と戦後十年後の場面が対比的に描かれた物語である。「食べ物」・「音」・「花」・「父の存在」などの観点をもとに比べると、その違いや共通点がはっきりとわかる。
「食べ物」
・おいもや豆やかぼちゃしか食べる物がなく、選べない。【戦時中】
・お肉とお魚のどちらがいいか、選べる。【戦後】
「音」
・てきの飛行機の音やばくだんの音を毎日聞き、怯える生活。【戦時中】
・ミシンの音が聞こえるくらい、穏やかな生活。【戦後】
「コスモスの花」
・プラットホームのはしっぽの、ごみすて場のような所に、わすれられたようにさいており、戦時中における人間の美しい心の喪失。【戦時中】
・ゆみ子に手渡した一つの花に込められた父の思い。わが子への愛情、平和への願いなど。【戦時中】
・ゆみ子の家は、コスモスの花でいっぱいに包まれており、平和で愛に満ちた世の中。【戦後】
このように、場面同士を比べて対比的に捉えることで、違いや共通点が際立ち、主題に迫る深い読みへつなげることができる。
